シェーン・モズリー

シェーン・モズリー

シェーン・モズリー（Shane Mosley、1971年9月8日生）は、アメリカ合衆国出身の元プロボクサーです。IBF世界ライト級、WBC・WBA世界ウェルター級、WBC・WBA世界スーパーウェルター級を制覇し、史上屈指の世界3階級制覇王者としてその名を刻んでいます。

「Sugar」の異名を持つ天才

幼少期からボクシングの才能を開花させ、アマチュア時代には260戦250勝という輝かしい戦績を残しました。そのキャリアを通じて、特に注目されたのはその卓越したボクシングスタイルです。驚異的なスピードと、圧倒的なハンドスピードから繰り出されるパワーパンチを、階級を超えた回転力で連射する攻撃的なスタイルは多くのファンを魅了しました。往年の名王者、シュガー・レイ・レナードに比肩するとの評価を受け、「Sugar」というニックネームで親しまれました。

波乱万丈のプロキャリア

1993年にプロデビューを果たし、その才能はすぐに開花します。1997年にはIBF世界ライト級王座を獲得し、8度の防衛に成功した後、王座を返上して階級を上げます。

ウェルター級では、2000年に当時無敵を誇ったオスカー・デ・ラ・ホーヤとの「Destiny」と銘打たれた一戦で判定勝利を収め、WBC世界ウェルター級王座を獲得。キャリア最大のハイライトの一つとなりました。しかし、その後バーノン・フォレストに連敗し、王座を失います。

スーパーウェルター級に転向後、2003年には再びデ・ラ・ホーヤと対戦し、WBA・WBC世界スーパーウェルター級統一王座を獲得。しかし、この試合後にはキャリアに影を落とすドーピング問題が発覚します。

キャリア後半は、ロナルド・ライトへの連敗、ミゲール・コットやフロイド・メイウェザー・ジュニア、マニー・パッキャオ、サウル・アルバレスといった時代を代表する強豪との対戦を経て、複数回の引退と復帰を繰り返しました。特にメイウェザー戦やパッキャオ戦は、全盛期を過ぎたとはいえ、その存在感を示したビッグマッチでした。最終的には2017年に三度目の引退を発表しました。

ドーピング問題

モズリーのキャリアにおける大きな汚点として、ドーピング問題が挙げられます。2003年のオスカー・デ・ラ・ホーヤとの再戦前に、バルコ（BALCO）社から提供された運動能力向上薬物であるデザイナーステロイド「クリア」「クリーム」及びエリスロポエチン（EPO）を使用していたことを後に認めました。当初はビタミン剤だと思っていたと釈明しましたが、バルコ創設者のビクター・コンテは、モズリーが薬物であることを認識しており、対価を支払っていたと証言し、両者の間で名誉毀損訴訟に発展するなど、物議を醸しました。

リング外での出来事

元韓国人女優のジン・モズリーとの結婚・離婚、そしてその後の財産分与や重婚疑惑を巡る法廷闘争は、キャリアの晩年に騒動となりました。また、息子のシェーン・モズリー・ジュニアもプロボクサーとして活動しており、自身はプロモーターとしてゴー・ボックス・プロモーションズを主宰するなど、ボクシング界との関わりを持ち続けています。引退後は息子のトレーナーなども務めています。

戦績とタイトル

アマチュア戦績：260戦250勝10敗
プロ戦績：61戦49勝(41KO)10敗1分1無効試合

獲得した主要なタイトルは以下の通りです。

IBF世界ライト級王座
WBC世界ウェルター級王座
WBC世界スーパーウェルター級王座
WBA世界スーパーウェルター級スーパー王座
WBA世界ウェルター級スーパー王座
WBC世界ウェルター級暫定王座
* WBCインターナショナルウェルター級王座

シェーン・モズリーは、その卓越したスキルとエキサイティングなファイトスタイルで多くのファンを魅了した一方、キャリアを通じて様々な波乱を経験した、記憶に残るボクサーの一人です。

もう一度検索