シエリト・リンド

「シエリト・リンド」は、メキシコで広く愛される歌であり、非公式ながらメキシコを象徴する歌とされています。1882年にキリノ・メンドーサ・イ・コルテスによって作曲されました。

メキシコを象徴する歌

この歌は、特に国外でメキシコ人が集まる際に、故郷を思い起こし、互いの絆を確認するために歌われることが多いです。FIFAワールドカップのような国際的なスポーツイベントでは、メキシコ代表を応援する歌として、熱狂的なサポーターによって歌われます。ただし、多くのメキシコ人は、歌のコーラス部分と最初の数小節しか覚えていないようです。

マリアッチによって演奏されることが多く、ペドロ・バルガスやルイス・アギラルといった、メキシコを代表する歌手たちのレパートリーとしても知られています。また、メキシコ映画『3人のガルシア』で使用されたことで、さらに多くの人々に知られるようになりました。

海外での広がり

この曲は、1957年にイギリスの歌手、アルマ・コーギャンによって「You, me, and Us」というタイトルでカバーされ、ヒットしました。歌詞は異なりますが、メロディーは「シエリト・リンド」に基づいています。興味深いことに、1957年は作曲者であるキリノ・メンドーサ・イ・コルテスが亡くなった年でもあります。

歌詞の解釈

キリノ・メンドーサ・イ・コルテスの伝記によると、彼は山で出会ったほくろのある女性にインスピレーションを受けてこの歌を作ったとされています。しかし、歌詞の内容はスペインの古い歌の影響を受けている可能性も指摘されています。

歌詞に登場する"sierra morena"（褐色の山）は、女性の髪型を指しているという説があります。当時の女性は髪を三つ編みにして頭の上に留める髪型をしており、その髪型が褐色の山のように見えたため、このように表現されたと考えられています。"morena"という言葉が頭や頭髪に対して使われることが多いことも、この説を裏付ける根拠の一つです。

歌のタイトルである"Cielito Lindo"は、親愛の情を表す言葉であり、特定の場所や天国を意味するものではありません。"cielito"は「空」や「天国」といった意味を持つ言葉ですが、ここでは「素敵なもの」といったニュアンスで使われています。

さまざまなシーンで

「シエリト・リンド」は、日本の歌謡界にも影響を与えています。1958年と1959年のNHK紅白歌合戦では、それぞれ異なる歌手によって歌われました。また、1968年公開の東宝映画『クレージー[[メキシコ大作戦]]』の劇中歌としても使用されています。

スポーツの分野では、Jリーグのジェフユナイテッド市原・千葉のチャント「奴らのゴール揺らせ」として、この曲のメロディーが使用されています。また、韓国のプロ野球チーム、ハンファ・イーグルスの応援団も、かつて金文湖選手の応援歌としてこの曲を使用していました。

2020年11月24日には、Google Doodleでマリアッチを記念した動画が公開され、「シエリト・リンド」を演奏するマリアッチの様子が紹介されました。

「シエリト・リンド」は、時代や国境を越えて、多くの人々に愛され続けている歌です。その美しいメロディーと心温まる歌詞は、これからも人々の心に響き続けるでしょう。

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