シカゴ (1937年の映画)

映画『シカゴ』の概要

『シカゴ』（原題: In Old Chicago）は、1937年に公開されたアメリカの映画で、シカゴ市の歴史的な大火災を背景にしたドラマです。監督はヘンリー・キングで、タイロン・パワー、アリス・フェイ、ドン・アメチーらが主演しています。この作品では、アイルランド移民のオリアリー一家が直面する困難や、兄弟間の葛藤を通じてアメリカの繁栄と改革の姿が描かれています。

あらすじ

物語は1854年に始まります。オリアリー一家はアイルランドからシカゴへ移住を試みますが、途中で夫パトリックが亡くなってしまいます。妻モリーはシカゴに着くと、洗濯屋を開業し、三人の息子ジャック、ダイオン、ボブを育て上げます。年月が経つにつれ、ジャックは改革に燃える弁護士として名を馳せ、ダイオンは街の実力者ウォーレンの右腕として権力を握ることになります。ボブは母の手伝いをしながら家族を支えています。

また、ダイオンはウォーレンがニューヨークから連れてきたスター歌手ベルに心を奪われ、彼女と共に酒場を経営し成功を収めます。ダイオンは名実共にシカゴの実力者となると、ウォーレンから市長選挙を控えて票集めの協力を求められます。しかし、ダイオンは実は自らの兄ジャックを市長に推す計画を考えています。

ジャックは周囲の勧めに背中を押され、市長選に立候補します。一方で、ダイオンは市長に立候補した兄を支えつつも、約束を果たすために選挙戦を策略で有利に進めます。選挙当日、ダイオンが警察本部長の弱みを利用して、不正投票を行うことでジャックを当選させる策略をとります。

兄弟の対立と火災

市長に当選したジャックは、街の改革を進めるためにダイオンの不正行為を告発しようとします。そこで彼はダイオンが恋するベルを証人として召喚したいと考えます。しかし、ダイオンはジャックに結婚式を挙げさせることでベルを証人から外そうと画策。これに気がついたジャックは、兄に対する怒りから絶縁を決意します。

この兄弟の対立が悲劇的な結果を招きます。母モリーが兄弟に寄り添おうとする中、不注意から納屋のランプが倒れ、シカゴ全体を襲う大火事となるのです。火災が広がる中、治療にあたるジャックはウォーレンとその仲間たちと対峙します。ウォーレンはジャックを貶めるために、噂を流して人々を煽動します。

結末

火災の中、ダイオンとボブは和解し、ジャックの遺志を継いでシカゴを再建することを誓います。燃えさかる街を前にして、モリーは亡き息子に誓いを立て、立ち向かう姿勢を示します。このように、『シカゴ』は家族、忠誠心、そして人間の成長を描いた、感動的なストーリーに仕上がっています。

キャストとスタッフ

本作には、タイロン・パワーがダイオン・オリアリー、アリス・フェイがベル・フォーセット、ドン・アメチーがジャック・オリアリーを演じています。製作はダリル・F・ザナックが手掛け、音楽監督はルイス・シルヴァースが担当しています。また、歴史に基づくフィクションであるため、登場人物の多くは大幅に脚色されています。

『シカゴ』はそのリアルな人間ドラマと激動の時代背景を絡めたストーリー展開により、多くの観客に感動を与え続けています。

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