タイロン・パワー

タイロン・パワーは、1914年5月5日にアメリカ合衆国オハイオ州シンシナティで生まれました。彼の父親も同名の俳優タイロン・パワー二世であり、曽祖父もまたアイルランド生まれの俳優兼コメディアンという、芸能一家に育ちました。幼少期は病弱だったため、家族でカリフォルニアに移住しますが、父親はニューヨークを拠点に活動していたため不在がちで、1920年に両親は離婚。その後、母親と共に子役として舞台に立つようになります。

数年後、シンシナティに戻り高校を卒業した彼は、1931年に映画界入りした父親に同行してハリウッドへ。しかし間もなく父親が急逝、彼はハリウッドに留まり、いくつかの映画に脇役として出演しました。その後、ブロードウェイの舞台に出演していたところを20世紀フォックスにスカウトされ、1936年の『勝鬨』で若手スターとしてデビューを飾ります。

『スエズ』や『世紀の楽団』などのヒット作に恵まれ、マネーメイキングスターのトップ10に名を連ねるほどの人気俳優となりました。1939年には映画雑誌の人気投票で「ハリウッド・キング」に選出されるなど、フォックスの看板スターとしての地位を確立します。しかし、彼はステレオタイプな二枚目役を嫌い、新境地を開くために舞台に戻ろうとしたこともありました。また、『スエズ』で共演したフランスの人気女優アナベラと結婚しますが、後に離婚しています。

第二次世界大戦中はアメリカ軍に志願。戦後、進駐軍の兵士として日本を訪れた際、銀座の交差点で交通整理をしたという報道がありましたが、これは史実ではないとされています。1950年代に入ると、二枚目スターとしての人気はグレゴリー・ペックなどに譲り渡しますが、『長い灰色の線』や『陽はまた昇る』で中年の渋みを演じ、『愛情物語』では実在のピアニスト、エディ・デューチンを演じるなど、新たな一面を見せました。

ビリー・ワイルダー監督の『情婦』では、演技派としての評価を確立。しかし、その矢先である1958年、『ソロモンとシバの女王』のマドリードロケ中に心臓麻痺を起こし、44歳という若さで急逝しました。彼の役はユル・ブリンナーに交代して撮影がやり直されました。

タイロン・パワーは、その甘いマスクと確かな演技力で、観客を魅了し続けた名優です。彼の出演作品は、今もなお多くの人々を感動させています。

主な出演作品

1936年　『勝鬨』
1937年　『シカゴ』
1937年　『人生は一度だけ』
1938年　『アレキサンダー大王』
1938年　『スエズ』
1939年　『世紀の楽団』
1940年　『ゾロの末裔』
1941年　『血と砂』
1942年　『海の征服者』
1947年　『悪魔と深海』
1947年　『夜の悪魔』
1950年　『黒ばら』
1951年　『アメリカ横断』
1952年　『私は狙われている』
1955年　『長い灰色の線』
1957年　『陽はまた昇る』
1958年　『愛情物語』
1957年　『情婦』


外部リンク

タイロン・パワー - IMDb（英語）
タイロン・パワー - インターネット・ブロードウェイ・データベース（英語）
Tyrone Power, King of 20th Century-Fox
The Tyrone Power Pages
Classic Movies（1939 - 1969）: タイロン・パワー
タイロン・パワー : Biografia, filmografia, galariá, etc.

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