シカゴ・セブン

シカゴ・セブン事件とは

シカゴ・セブンとは、1968年8月にシカゴで開催された民主党全国大会で発生した暴動事件に関連して、共謀罪などで起訴された7人の被告を指すマスコミによる呼称です。当初は8人が起訴されましたが、1人が分離されたため、7人となりました。被告となったのは、アビー・ホフマン、ジェリー・ルービン、トム・ヘイデン、レニー・デイビス、デビッド・デリンジャー、ジョン・フロイネス、リー・ウェイナーです。

事件の背景

当時、ベトナム戦争に対する反対運動が激化しており、民主党全国大会の開催に合わせて、シカゴには多数のデモ隊が集結していました。1968年8月28日、グランドパークで行われた集会で、警察とデモ隊が衝突し、双方に多数の負傷者が出る事態となりました。この事件をきっかけに、大陪審はデモ参加者8名と警官8名を起訴しました。

裁判の経過

1969年3月20日、8名の被告が起訴され、弁護団には人権派弁護士として知られるウィリアム・クンスラーとレナード・ワイングラスが、裁判官にはジュリアス・ホフマン、検察官にはトム・フォランが選任されました。裁判は同年9月24日に開始されました。

裁判中、被告の一人であったブラックパンサー党の活動家ボビー・シールが裁判官を激しく非難したため、法廷で拘束され、猿轡をはめられるという異例の事態が発生しました。その後、裁判官はシールを裁判から切り離し、法廷侮辱罪で懲役4年を宣告しました。これにより、被告は7人となり、彼らは「シカゴ・セブン」と呼ばれるようになりました。

裁判では、被告たちが法廷を嘲るような行動を繰り返したことが広く報道され、反体制運動の象徴として注目を集めました。特に、イッピーのホフマンとルービンは、法衣を着用して出廷したり、陪審員にキスをするなど、挑発的な行動を繰り返しました。また、裁判には多くの反体制的な著名人が証人として出廷し、裁判は数ヶ月に及ぶ長期戦となりました。

裁判の判決とその後

1970年2月18日、7人の被告は共謀罪については無罪となりましたが、5人が暴動を扇動したとして有罪判決を受けました。彼らにはそれぞれ禁錮5年と5,000ドルの罰金が科せられました。しかし、この有罪判決は1972年11月21日に上訴裁判所によって覆されました。裁判官が陪審員の選定において、被告側の質問を不当に拒否したことが偏りであると判断されたためです。その後、司法省は再審を行わないことを決定しました。

裁判中には、被告側弁護団も法廷侮辱罪で有罪となり禁固刑を宣告されましたが、それらも無罪となりました。法廷侮辱罪に関して再度審判が行われた結果、デリンジャー、ルービン、ホフマン、カンスラーが有罪となりましたが、禁固刑や罰金刑は科されませんでした。

メディアにおける描写

シカゴ・セブン事件は、映画やドキュメンタリーなど、様々なメディアで取り上げられています。1992年には、スパイク・リー監督の映画『マルコムX』で、ウィリアム・クンスラーとボビー・シールが描かれました。また、2020年には、本事件をモデルにした映画『シカゴ7裁判』が製作され、Netflixで配信されました。この映画では、シカゴ・セブンとその弁護士を、不当な裁判に立ち向かうヒーローとして描いています。

参考文献

The Chicago Seven
The Chicago Seven Trial

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