ブラックパンサー党

ブラックパンサー党：歴史と影響

ブラックパンサー党（BPP）は、1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで活動していた急進的な政治組織で、黒人民族主義運動や黒人解放闘争を展開した。1966年にヒューイ・P・ニュートンとボビー・シールによってカリフォルニアのオークランドで設立され、都市の貧しい黒人居住地域、いわゆるゲットーを警察から自衛するために結成されたのが始まりである。

結成の背景

BPPの活動開始は1965年に遡り、公民権運動を指導していたマルコム・Xの暗殺後、さらにその後のマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの殺害によって組織は活発になった。ニュートンとシールは当初、「革命的行動運動」という団体に所属しており、そこでの経験が後の活動に影響を与えた。市当局に対して警察の暴力行為を調査する委員会の設置を求めるなど、地域コミュニティへの貢献を模索していた。

党の思想と運動

BPPの思想は、マルコム・Xの暴力主義や、マーティン・ルーサー・キングの非暴力主義を否定するものであり、特に共産主義に大きく影響を受けていた。党の指導者たちは毛沢東の思想を特に重視し、アメリカ国内の黒人社会を「第三世界」とみなしていた。彼らは、アフリカとかかわりのある民族や、沖縄の米軍にいる党員とともに、国際的な連帯を進める思想を持っていた。

十項目綱領の制定

党の設立時、彼らは「十項目綱領」を発表し、黒人コミュニティの権利と社会的な改善を求める内容が盛り込まれた。具体的には、黒人が自らの運命を決定する力、完全な雇用の確保、資本家による搾取の終焉、適切な住宅の確保などが挙げられている。

社会奉仕活動

ニュートンたちは「人民に奉仕せよ」の指針の下、社会奉仕活動を開始。児童への無料朝食プログラムや人民病院の設立など、貧困層に対する支援に尽力した。これらの活動は、BPPの評判を高め、党員数の増加に寄与した。

警察との対立

BPPは、警察の暴力に対抗するため自衛の運動を展開。特に1967年の州議会での銃持参の抗議行動は、全国ニュースとなり、FBIの弾圧を招いた。多くの党員が逮捕され、衝突が繰り返された。

近年の動向

1970年代後半には、党員の弾圧により活動が縮小し、最終的にはほとんど解散状態となった。しかし、1989年には「新ブラックパンサー党」が結成されるなど、BPPの思想が一部受け継がれている。

まとめ

ブラックパンサー党はアメリカの歴史の中で重要な役割を果たしてきた。彼らの思想や運動は、今なお多くの活動家や団体に影響を与え続けており、社会正義のための闘争において象徴的な存在ともなっている。

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