シカゴ万国博覧会 (1893年)

シカゴ万国博覧会（1893年）

シカゴ万国博覧会、正式には『World's Columbian Exposition』は、1893年5月1日から10月3日まで、アメリカのイリノイ州シカゴで行われた国際的イベントです。この博覧会は、クリストファー・コロンブスによるアメリカ大陸の発見から400年を記念し、科学技術の発展及び工業への応用をテーマとしていました。そのため、この回は「シカゴ・コロンブス万国博覧会」や「シカゴ・コロンビア博覧会」と呼ばれることもあります。

参加国は19か国に及び、会期中に2750万人もの来場者を迎えました。この博覧会の全体的な特徴は、ルネッサンス建築を基にした美術や工芸品の展示であり、日本からも宇治平等院鳳凰堂の半分の大きさの模型が出品され、強烈なジャポニズムの印象を与えました。

開催都市シカゴの背後にある歴史

シカゴ市は1871年の大火を経て、急速な復興を遂げました。1890年、アメリカ政府によって博覧会の開催都市として選ばれたシカゴは、ジャクソン公園に広がる67万坪以上の土地を3年かけて整備しました。この公園内には、展示のためのCourt of Honor地区や娯楽のためのMidway地区を含む約200の建物が建設されました。特にCourt of Honor地区には、アメリカを象徴する華やかな新古典主義建築が並び、美術館や工芸館、農業館などが設けられました。この一帯は「ホワイト・シティ」とも称され、なぜなら建物全てが白一色で統一されていたからです。

また、電気の多用もこの博覧会の特徴であり、女性による「女性館」の設置も行われました。この女性館は、当時の女性の地位向上を意識した重要な施設でした。

Midway地区の魅力

一方、Midway地区では、世界初の巨大観覧車として知られる「フェリスの車輪」が設置されており、観覧車は観客を楽しませるための大型遊具として非常に人気がありました。この地区では国際色豊かな店舗が並び、訪れる人々に多様な文化を楽しませていました。また、コロンブスの航海で使用された艦船のレプリカや、長距離電話、動く歩道など、最先端技術の展示も行われていました。

日本の参加と影響

日本は、西洋諸国に対して文明国であることをデモンストレーションするため、万博に参加しました。特に、日本館の建設が重要視され、池の中道に「鳳凰殿」が完成しました。建物は、江戸時代、平安時代、室町時代の特徴を取り入れたもので、訪問者からは大きな関心を集めました。この日本館は、日本の伝統的な建築技法を用いて設計され、アメリカの建築界に新たな議論を呼び起こしました。特に、フランク・ロイド・ライトは日本の建築スタイルから影響を受け、その後の自身のデザインに反映させたと言われています。

批判と社会的問題

華々しい博覧会の裏側には、当時のアメリカにおける貧富の差や人種差別という現実もありました。万博に象徴される富裕層の豪華さの影に、多くの労働者や先住民、有色人種が厳しい生活を送り、貧困に苦しんでいました。特に、黒人の参加は無視され、その不公平に対して抗議の声も上がりました。

未来への影響

博覧会の後、多くの建物が数年内に解体され、跡地はジャクソン・パークとして再整備されました。その中でもシカゴ科学産業博物館は重要な施設として残されています。そして、日本庭園などもその後の都市再整備で手入れされ、シカゴ市における日本文化の象徴として現在も親しまれています。シカゴ万国博覧会は、科学技術の発展を祝うと共に、社会的問題に目を向けるきっかけともなった歴史的なイベントでした。

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