シカゴ条約

国際民間航空条約について

国際民間航空条約（通称：シカゴ条約）は、1944年11月にアメリカ合衆国のシカゴで行われた国際会議で採択された法律文書です。この会議では、民間航空の発展、秩序の確立、安全性の確保に向けての基本的な枠組みが整えられました。条約には、国際民間航空機関（ICAO）の設立が含まれており、今日までに191か国が加盟しています。

条約の目的

国際民間航空条約は、民間航空機に焦点を当て、各国の領空主権を再確認し、その法的地位を規定することを主な目的としています。また、民間航空の運営における効率性と秩序を確保するため、二国間でのルールの明確化が促進されています。特に定期便に関する取り決めは、ラウンド交渉ではなく、各国間で締結された条約に基づいて行われています。

歴史的背景

この条約は、第二次世界大戦中の連合国と中立国52か国の合意の結果として成立しました。枢軸国であった日本は、1953年にこの条約に加盟しています。歴史的に見ても、国際民間航空条約は、平和的な国際協力の象徴として重要な役割を果たしています。

重要な改正

1983年に発生した大韓航空機撃墜事件は、条約の改正につながりました。この事件を受け、1984年5月にモントリオールで開催された臨時会議にて、「第3条の2」が追加されました。この改正により、各国は自国の領空を飛行する不審な航空機に対して強制着陸を命じる権利を持つことが確認され、民間航空機はその指示に従うことが義務付けられました。また、各国は武器を使うことなく人命と航空機の安全を叶える努力が求められています。

最近の取り組み

2014年のマレーシア航空370便の墜落事故を契機に、ICAOは2016年に新たな位置情報送信基準を採用しました。この基準により、外洋上を飛行する旅客機は15分ごとに位置情報を提供する必要がありました。さらに、2021年から製造された旅客機には、窮状下で自動的に1分ごとに位置情報を発信する装置の設置が義務付けられました。これにより、フライトデータレコーダーやコックピットボイスレコーダーの利用が容易になり、安全性が一層強化されています。

附属書と標準

国際民間航空条約には、附属書が設けられており、航空業界の標準と勧告が集められています。これは“Standard and Recommended Practices (SARPs)”として知られており、以下の19の附属書から構成されています:

• - Annex 1: 航空従事者技能証明
• - Annex 2: 航空規則
• - Annex 3: 気象サービス
• - Annex 4: 航空図
• - Annex 5: 使用される計測単位
• - Annex 6: 航空機の運航
• - Annex 7: 航空機の国籍及び登録記号
• - Annex 8: 航空機の耐空性
• - Annex 9: 出入国の簡易化
• - Annex 10: 航空通信
• - Annex 11: 航空交通業務
• - Annex 12: 捜索救難業務
• - Annex 13: 航空機事故調査
• - Annex 14: 飛行場
• - Annex 15: 航空情報業務
• - Annex 16: 環境保護
• - Annex 17: 安全保障
• - Annex 18: 危険物の安全輸送
• - Annex 19: 安全管理

国際民間航空条約は、国際的な民間航空の安全性と効率を高めるために不可欠な法的枠組みを提供しており、多くの国々がその恩恵を受けています。

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