シガレット・アンド・ヴァレンタイン

グリーン・デイ幻のアルバム：シガレッツ・アンド・ヴァレンタインズ

『シガレッツ・アンド・ヴァレンタインズ (Cigarettes and Valentines)』は、アメリカのロックバンド、グリーン・デイが2003年にレコーディングしていた未発表の7枚目のアルバムです。しかし、完成間近という段階で、何者かによってマスターテープが盗まれてしまうという、前代未聞の事態が発生し、リリースされることはありませんでした。

制作の経緯と幻のアルバム

アルバムは2003年にレコーディングされ、アートワークも決定していました。しかし、完成直前にマスターテープが盗難されるという悲劇に見舞われます。一部の曲はバックアップが残っていたものの、オリジナル版とは異なっていたため、バンドは新たな作品を一から作り直す決断をしました。

ビリー・ジョー・アームストロングは、このアルバムについて「『ニムロッド』と『ウォーニング』が混ざったような良い感じの作品」と評しつつも、グリーン・デイの最高傑作とまでは言えないと語っています。プロデューサーのロブ・カヴァロも、メンバーに「可もなく不可もない」と伝えていたようです。

盗難がもたらした「天の恵み」

マスターテープ盗難という災難に見舞われたグリーン・デイでしたが、この出来事が結果的に彼らにとって大きな転機となります。新たに制作されたアルバム『アメリカン・イディオット』は、世界的な大ヒットを記録し、バンドは再び頂点へと返り咲きました。ビリーはこの成功を「天の恵み」と表現しています。

収録予定曲とその後

『シガレッツ・アンド・ヴァレンタインズ』に収録予定だった楽曲は以下の通りです。

Instrumental
What About Today?
Teenagers From Mars (ミスフィッツのカヴァー)
I'll Be There When September Ends
Cigarettes & Valentines
Record

これらの楽曲のうち、「Cigarettes & Valentines」は、2010年の「21世紀のブレイクダウン」に伴うライブツアーで初めて披露され、2011年発売のライブ・アルバム『最強ライヴ!』に収録されました。「I'll Be There When September Ends」は、後に『アメリカン・イディオット』に収録され、世界中で愛される名曲となりました。

謎に包まれた幻のアルバム

2003年には、グリーン・デイの覆面バンド、ネットワークのアルバム『マニー・マニー2020』が、『シガレッツ・アンド・ヴァレンタインズ』の再録ではないかという噂が流れましたが、ビリーはこれを否定しています。真相は謎に包まれたままですが、幻のアルバムとして、今もなおファンの間で語り継がれています。

参加メンバー

ビリー・ジョー・アームストロング - ボーカル、ギター
マイク・ダーント - ベースギター、コーラス
トレ・クール - ドラム
ロブ・カヴァロ、グリーン・デイ - プロデューサー

『シガレッツ・アンド・ヴァレンタインズ』は、グリーン・デイの歴史における重要なターニングポイントであり、その存在は、彼らの音楽性をより深く理解するための鍵となるでしょう。

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