シコー (モータ)

シコー株式会社の歴史と経営の変遷

シコー株式会社（SHICOH CO.,LTD.）は、神奈川県大和市を本拠地としている日本のモーター製造メーカーで、特に携帯電話用のバイブレータなど小型モーターの開発に力を入れています。シコーの創業者である白木学は、東京理科大学を卒業後、小型モーターの研究に没頭し、1974年に会社を設立しました。1976年には有限会社シコー技研を立ち上げ、社名には、「思考（しこう）」に基づいた独自の製品開発への情熱が込められています。

初期の成功とイノベーション

シコーは、携帯電話用の小型振動モーターを開発し、初めてマナーモード機能の実現に成功した企業として知られています。この革新的な技術は、ユーザーがバイブレーションによって着信を知ることを可能にし、モバイルコミュニケーションの在り方を変えました。2004年には東京証券取引所マザーズ市場に上場し、さらに翌年にはカメラの焦点合わせに使われる「AFLモータ」のコスト削減に成功し、業績が伸び続けました。

経営破綻とその要因

しかし、シコーは2012年の8月に民事再生法の適用を申請し、負債総額は約86億円に達しました。経営破綻の大きな要因は、スマートフォンメーカーのAppleとの受注契約が突然終了したことにあります。シコーはAppleからの受注によって成長してきた企業で、特に2010年12月期には売上高138億円という過去最高の記録を打ち立てましたが、2011年にAppleが「iPhone 4」の改良を行った際に大口受注を失いました。この影響で、2011年12月の売上高は約105億円に減少し、32億円もの赤字を計上しました。

また、リーマン・ショック後の円高や為替デリバティブの損失も影響を与えました。加えて、シコーはコスト競争において中国や韓国の企業と熾烈な争いを繰り広げており、これが収益を圧迫する要因となりました。

その結果、2012年12月には携帯電話用モーター事業を約3億7,400万円で上海泰隆汽車装飾有限公司グループに譲渡する事態に至りました。これによって、シコーは事業の縮小を余儀なくされ、経営の再建が難しい状態となりました。

現在のシコー

シコー株式会社の経営破綻は、日本の電子機器業界の変動を象徴する出来事の一つです。競争が激化する中で、企業は独自の技術と革新性を持たなければ生き残れないという厳しい現実を示しています。シコーが今後どのような道を歩むのか、企業の再生に向けた取り組みに注目が集まります。

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