シザーズ・カット〜北風のラストレター

アート・ガーファンクルのソロキャリアにおける通算5作目のアルバムとして、『シザーズ・カット』（Scissors Cut）は発表されました。日本では『シザーズ・カット〜北風のラストレター』という邦題が付けられています。

本作は、発売された地域によって収録曲構成に違いが見られる点が特徴的です。特にアメリカ盤と、イギリスや日本でリリースされた盤ではトラックリストが異なっています。アメリカ盤では「ブライト・アイズ」がSide 2の1曲目（全体で6曲目）に収められていますが、イギリス盤および日本盤ではこの曲が収録されず、代わりに「ロマンス」（"Romance"）という楽曲がSide 2の3曲目（全体で8曲目）に収録されています。また、イギリス盤と日本盤では、アメリカ盤におけるSide 1の1曲目と2曲目の順序が入れ替わっており、「シザーズ・カット（愛の回転木馬）」が最初に、次いで「ハート・イン・ニューヨーク」が収録されるという違いも見られます。

アメリカ盤のトラックリストは以下の通りです。

Side 1
1. ハート・イン・ニューヨーク - "A Heart In New York" (Benny Gallagher, Graham Lyle) – 3:13
2. シザーズ・カット（愛の回転木馬） - "Scissors Cut" (Jimmy Webb) – 3:53
3. 街はたそがれ - "Up In The World" (Clifford T. Ward) – 2:18
4. 北風のラストレター - "Hang On In" (Norman Sallitt) – 3:47
5. 雨の舗道 - "So Easy To Begin" (Jules Shear) – 2:52
Side 2
1. ブライト・アイズ - "Bright Eyes" (Mike Batt) – 3:55
2. ひとり窓辺で - "Can't Turn My Heart Away" (John Jarvis, Eric Kaz) – 3:23
3. フレンチ・ワルツ - "The French Waltz" (Adam Mitchell) – 3:11
4. 美しき若葉の頃 - "In Cars" (Jimmy Webb) – 3:48
5. 愛してる、ただそれだけ… - "That's All I've Got To Say (Theme From "The Last Unicorn")" (Jimmy Webb) – 1:55

これらの収録曲には、多くの著名なソングライターが名を連ねています。特に、ジミー・ウェッブはアルバムタイトル曲を含む複数の楽曲を提供しています。

Side 2の最後に収められている「愛してる、ただそれだけ…」は、アニメーション映画『最後のユニコーン』（The Last Unicorn）のテーマ曲として使用されました。この映画は、日本の制作会社であるトップクラフトがアニメーション制作を手がけたことでも知られています。アート・ガーファンクルはこの映画にナレーションとしても参加しています。

本稿の作成にあたっては、佐藤実氏による著作『サイモン＆ガーファンクル全曲解説』（アルテスパブリッシング、2009年刊、ISBN 9784903951195）を参照しています。

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