シシュガンビス

シシュガンビスについて

シシュガンビス（古代ギリシャ語：Σισύγαμβις、英語：Sisygambis、? - 紀元前323年）は、アケメネス朝ペルシアの著名な王族であり、王アルタクセルクセス2世の娘です。彼女はアルサメスと結婚し、後にアケメネス朝ペルシアの最後の王、ダレイオス3世を生むことになります。

生い立ちと家族

シシュガンビスは古代ペルシアの王朝に生まれ、その血筋は権力と伝承に満ちていました。彼女の子供であるダレイオス3世は、アケメネス朝の崩壊期に君臨し、重要な歴史的事件に関与しています。彼女自身もまた、数々の試練に直面しながら、深い愛情と家族への忠誠心を示しました。

イッソスの戦いとその後

紀元前333年、ダレイオス3世はイッソスの戦いでアレクサンドロス大王に敗北します。この敗戦は、シシュガンビスの人生に大きな影響を及ぼしました。ダレイオスは母シシュガンビス、妻のスタテイラ1世、そして子供たちを置き去りにして逃げ、その後、アレクサンドロスに捕らえられた家族はひどく不安な状況に置かれました。

アレクサンドロスは、シシュガンビスやスタテイラを丁寧に扱い、彼女たちを尊重して接しました。特に、シシュガンビスがアレクサンドロスの側近であるヘファイスティオンを間違って王と思い込み、彼の前にひれ伏したというエピソードは有名です。この時アレクサンドロスは、シシュガンビスに対し「心配しないで、この者もまたアレクサンドロスなのだから」と答えています。この一幕は、シシュガンビスの心情を示すと共に、アレクサンドロスの大器を示す出来事として歴史に残りました。

ダレイオスの死とその後の悲劇

歴史家クィントゥス・クルティウス・ルフスによると、シシュガンビスはダレイオス3世の死を決して許さず、悲しみの中で「私には一人の息子、彼は全ペルシアの王である」と語ったと言われています。紀元前324年には、彼女の孫娘スタテイラ2世をアレクサンドロスに嫁がせるなど、政治的な駆け引きにも関与しました。その際、姉妹のドリュペティスはヘファイスティオンと結婚しています。

しかし、紀元前323年にアレクサンドロスが死去したとの知らせを受けたシシュガンビスは、深い悲しみに打ちひしがれ、その後部屋に閉じこもってしまいます。5日後、彼女は悲しみと飢えの中で亡くなったとされています。彼女の死は、アケメネス朝の終焉を象徴する出来事として記憶されています。

影響と記憶

シシュガンビスの名前は、1916年にマックス・ヴォルフによって発見された小惑星にその名を冠するなど、歴史において重要な位置を占めています。彼女の人生は、古代ペルシアの栄光と衰退を象徴する物語として今日に残り、多くの人々に語り継がれています。彼女の勇気と強さは、時代を超えたリーダーシップの一例と言えるでしょう。

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