システムインテグレーター

システムインテグレーターの理解

システムインテグレーター（SIer）は、さまざまなサブシステムを統合し、一つの機能的なシステムへと仕上げる事業を行う個人や企業を指します。この役割は、航空産業から軍需、情報通信まで多岐にわたります。

産業における役割

航空産業

航空機メーカーは自社製造の機体に、他社から調達したエンジンを取り付けて、最終的に飛行可能な状態に仕上げます。大手メーカーのボーイングやエアバスは、内部での製造よりも外部からの部品調達に注力しており、専門の製造業者から部品を購入しています。

軍需産業

欧米の軍需産業においては、ボーイングやロッキード・マーティンといったシステムインテグレーターが盛んに活動しています。こうした企業は利益を追求する一方で、冷戦時代以降の高度な兵器システムの開発にも関与し、制御技術の向上に貢献しています。

情報通信分野

情報通信の世界では、SI企業は、複数のベンダーからシステムに必要なソフトウェアやハードウェアを集め、統合して顧客に提供します。これにより、互換性のある効率的なシステムを構築することが可能となります。特に、日本のSI業界は、IT戦略の立案から運用・保守までを一手に引き受けるため、企業にとって重要なパートナーとなっています。

日本のシステムインテグレーターの特異性

日本では、SIersは特にアウトソーシングの流行とともに成長しました。企業はシステムの開発を外部に委託し、プライム契約者として責任を負います。この構造は、システムのオーナーから多くの作業を請け負ったサブコントラクターを通じて形成されています。

分類

日本のシステムインテグレーターは、次の4つに大別されることが一般的です。
1. メーカー系: コンピューターメーカーから派生した企業で、親会社との関係が深いです。
2. ユーザー系: 金融機関や商社など、特定の業界の企業が自社内でシステムインテグレーションを行います。
3. 情報システム子会社: 親会社の依存から脱却できず、機能子会社的な立場にある企業です。
4. 独立系: 大手企業の影響を受けず、独立した立場で活動しています。

課題と展望

SIerには、いくつかの問題が指摘されています。受託開発の収益性が低く、情報システムの古くなった技術に依存してしまうことが大きな懸念です。また、多重請負構造は、労働環境や技術の進歩を妨げているとの声もあります。これにより、若い技術者の離脱が進み、業界の活力が失われている現状があります。

特に日本においては、受託開発やカスタムメイドの需要が強く、そのために企業専用のソフトウェアの開発が主流となっています。これが高いカスタマイズ比率を生み、必然的に開発コストを押し上げる要因となっています。さらに、開発されたソフトウェアの販売は少なく、収益性の低下を招いているでしょう。反面、ユーザー企業とのコミュニケーションや信頼関係の構築が進めば、将来的にはより良いシステム開発へとつながるかもしれません。

システムインテグレーターは、現代社会において重要な役割を果たしている一方、その進化と適応が求められています。効果的なIT戦略を立案し、持続可能なビジネスモデルの構築が待たれます。

もう一度検索