システムユーザビリティスケール

システムユーザビリティスケール（SUS）は、システムの使いやすさ（ユーザビリティ）を測るための、主観的な評価ツールです。1986年にジョン・ブルック氏によって開発され、当初は電子事務システムのユーザビリティ評価に使用されました。現在では、様々なシステムや製品のユーザビリティを評価する際に広く利用されています。

SUSの概要

ユーザビリティとは、ISO 9241-11で定義されているように、システムが特定のユーザーによって、特定の目的のために、特定の環境で使用される際の使いやすさのことです。ユーザビリティは、以下の3つの側面から評価されます。

有効性（effectiveness）: ユーザーが目的を達成できる度合い。
効率（efficiency）: 目的達成のために必要な労力とリソースの量。
満足度（satisfaction）: ユーザーがシステムの使用体験にどれだけ満足しているか。

これらの要素は、システムが使用される状況によって大きく異なります。例えば、連続的な工業プロセスを制御するシステムと、テキストエディタでは、有効性や効率の評価基準は異なるため、システム間の比較は容易ではありません。しかし、主観的な使いやすさの評価を高いレベルで定義することで、システム間の比較が可能になります。

SUSは、まさにこの主観的な使いやすさを評価するためのツールであり、システム間の比較に役立ちます。0〜100点の単一スコアで評価されるため、一見すると全く異なるシステムでも比較することができます。ただし、SUSは一般的な質問に基づいてスコアを算出するため、詳細なユーザビリティの問題点を特定するには、他の評価方法との併用が必要となる場合があります。

ルイスとサウロは、SUSのスコアを「ユーザビリティ」と「学習しやすさ（ラーナビリティ）」という2つの要素に分解することを提案しました。ボルシ、フェデリチ、ラウリオーラは、これらの要素が互いに関連性があることを示唆しています。

SUSの活用

SUSは、様々なシステムのユーザビリティ評価に広く利用されており、その利便性から多くの研究や実務で活用されています。バンガー、コルトゥム、ミラーは10年以上にわたりSUSを使用し、他のシステムと比較するための規範データを作成しました。さらに、SUSスコアに対応する形容詞による評価も提案されています。サウロとルイスは、数百件のユーザビリティ研究を分析し、SUSの平均スコアに対する曲線的な評価尺度を提案しています。

まとめ

SUSは、10個の質問からなるシンプルなアンケート形式で、システムの使いやすさを主観的に評価できる便利なツールです。幅広いシステムに対応可能で、システム間の比較にも役立ちます。ユーザビリティ評価を行う際には、ぜひSUSの活用を検討してください。

関連事項

ユーザビリティ

参考文献

Tullis, T.S., and Stetson, J.N. A Comparison of Questionnaires for Assessing Website Usability, Usability Professional Association Conference, 2004.
Sauro, J. (2011). Measuring Usability with the System Usability Scale (SUS)[1]
Brooke, J. (2013). SUS - a retrospective. Journal of Usability Studies.[2]

外部リンク

“SUS PDF generator”. usabiliTEST. 2021年10月6日閲覧。 Free online PDF generator of SUS questionnaire in multiple languages.

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