シチリア王国

シチリア王国

シチリア王国（Regno di Sicilia）は、中世から近世にかけてシチリア島とイタリア半島南部を統治した王国であり、現在のイタリア共和国の一部として存在しています。この王国は歴史的に重要な地域で、栄光と衰退を繰り返してきました。王国の標語はラテン語で「Animus Tuus Dominus」といい、「あなたの心はあなたのもの」と訳されます。1190年のこの言葉は、当時の人々の自立心や権利意識を反映しています。

歴史

ノルマン・シチリア王国の成立

シチリア王国の歴史は11世紀の半ばに始まります。この時、ノルマンディーから来た騎士ロベルト・イル・グイスカルドが南イタリアを征服しました。彼の弟、ルッジェーロ1世は1071年にシチリア全土を占領し、この功績によりシチリア伯位を授かります。1130年、ルッジェーロ1世の息子であるルッジェーロ2世は、対立する教皇の支持を受けて王位に就き、オートヴィル朝（ノルマン朝）が成立しました。この王朝は、1189年にグリエルモ2世の死によって混乱の時代を迎え、タンクレーディとコスタンツァの間で王位を巡る争いが起こります。最終的にタンクレーディが王位を得ますが、彼の死後、ハインリヒ6世の侵攻によりオートヴィル朝は崩壊します。

ホーエンシュタウフェン朝とその後

ホーエンシュタウフェン朝のローマ皇帝ハインリヒ6世は、コスタンツァを通じてシチリア王国を手に入れます。しかし、1197年に彼が死去した後、幼いフェデリーコが王となります。1220年、フェデリーコ2世がシチリア王として即位し、ローマ皇帝の地位も兼任しましたが、彼の治世はローマ教皇との対立を招きます。フェデリーコの死後、王国は再び異なる家系が興ったり、征服されたりする波乱の時代を迎えました。

ナポリ王国への分裂

フランス王ルイ9世の弟による征服の後、シャルルがシチリア王位に就くも、民衆からの支持を得られず、1282年の晩祷事件が起こります。この結果、シチリアはアラゴン王ペドロ3世に奪われ、王国は二分化されました。その後、様々な戦争や和平が繰り返され、シチリア王国はナポリやアラゴンの支配を受けることになります。

スペイン・ハプスブルク家の時代

スペイン継承戦争の結果、1713年にシチリアがサヴォイア家に渡りますが、戦争の過程で再び変動します。その後、ナポリ・シチリアはブルボン家に統合され、1816年には両シチリア王国として統一されます。この際、シチリアの住民は長い歴史と伝統を打破されることに反発し、数度にわたる反乱が起こります。

イタリア王国の成立

1860年には、ガリバルディに率いられる反乱が勃発し、シチリアはサルデーニャ王国に併合されることになります。国民投票により、イタリア王国が成立し、その一部としてシチリアは今の位置づけに至ります。

経済

シチリア王国の経済は、農業生産力向上と貿易によって支えられていました。主な輸出品には穀物、豆類、オリーブ油、皮革製品、麻、服飾類があったほか、ジェノヴァやピサなどとの交易が重要でした。しかし、封建制度の強化により経済は停滞し、かつての繁栄は失われていきました。

貨幣の歴史

シチリアでは、ノルマン王朝の時代からタリ金貨が基礎貨幣として流通していましたが、さまざまな貨幣が利用されていました。後に、フリードリヒ2世によってアウグスターレ金貨が鋳造され、交易において特に重宝されました。

シチリア王国の歴史は、様々な民族による征服や統治の影響を受け、現在のイタリアではその文化や伝統に深く根付いています。

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