シトリックス・システムズ

シトリックス・システムズ（Citrix Systems, Inc.）

シトリックス・システムズは、アメリカ合衆国フロリダ州に本社を置く多国籍情報テクノロジー企業です。1989年の設立以来、ソフトウェア開発で培った技術力を基盤に、2004年にはネットワーク機器の製造にも参入しました。

特に1990年代からシンクライアント技術のパイオニアとして知られ、現在ではデスクトップ仮想化、SaaS、クラウドコンピューティングの分野で幅広い製品を提供しています。2022年9月には、投資ファンドによる買収を経て、TIBCO Softwareと合併し、Cloud Software Group (CSG) の傘下となりました。

代表的な製品には、サーバー仮想化製品の「Citrix XenServer」、アプリケーション配信ミドルウェアの「Citrix XenApp」、デスクトップ仮想化製品の「Citrix XenDesktop」、そしてWebアプリケーション高速化ネットワーク機器の「Citrix NetScaler」があります。これらの製品群は、旧名称の「MetaFrame（メタフレーム）」としても広く知られています。

歴史

創立期

シトリックスは、IBMでOS/2の開発に携わっていたエンジニア、エド・ヤコブッチを中心に1989年に設立されました。ヤコブッチは、UNIXのようなマルチユーザーOSの開発をIBMに提案しましたが、IBMの関心を得られなかったため、自ら会社を設立するに至りました。

当初、フロリダの柑橘類産地にちなんで「Citrus」と名付けられましたが、同名の商標が存在したため、CitrusとUNIXを組み合わせた「Citrix」に変更されました。

シトリックスの最初の製品は、ヤコブッチが目指したマルチユーザー対応のOS/2「Citrix MULTIUSER」でした。この製品は、マイクロソフトからOS/2のソースコードのライセンスを受けて開発されました。Citrix MULTIUSERは、テキストベースのOS/2アプリケーションを複数のユーザーが同時に利用できるようにすることを目指しましたが、市場のニーズに合わず、商業的には失敗に終わりました。

リモートアクセス技術の確立

Citrix MULTIUSERの失敗から、シトリックスは市場のニーズを調査し、DOSアプリケーションやWindows 3.1アプリケーションのリモートアクセス需要に着目しました。1993年に発表された「WinView」は、OS/2をベースにしつつ、これらのアプリケーションをマルチユーザー環境で利用可能にしたことで、シトリックス初の商業的成功を収めました。

その後、マイクロソフトからWindows NTのソースコードのライセンスを受け、1995年に「WinFrame」を発表しました。WinFrameは、Windows NT 3.51をマルチユーザー対応に改変したOSとして提供され、サーバーハードウェアとWinFrameのみで動作しました。これにより、マイクロソフトからOSを購入する必要がなくなりました。

Windows 2000、2003、XPで動作するリモートデスクトップ機能やターミナルサービスは、シトリックスの技術がベースになっています。現在の「Citrix XenApp」は、「WinFrame」の後継として、マイクロソフトのOSに追加インストールするミドルウェアとして提供されています。

株式公開

1995年12月にシトリックスは株式公開を行いました。株式価格は公開後1日で倍増し、大きな成功を収めました。

公開時の主力製品であった「WinFrame」は、マイクロソフトのWindows NTが企業市場でシェアを拡大し始めた時期と重なったことで、市場に広く受け入れられました。これは、最初の製品「MULTIUSER」がOS/2をベースにしていたために市場に受け入れられなかったこととは対照的です。

株式公開時には、株式の30%が従業員によって保有されており、多くの従業員が株式売却によって多大な利益を得ました。

まとめ

シトリックスは、初期の失敗を乗り越え、リモートアクセス技術のパイオニアとして成長しました。現在は、Cloud Software Groupの一員として、デスクトップ仮想化やクラウドコンピューティング分野で重要な役割を果たしています。

参考

Remote Desktop Protocol (RDP)

外部リンク

シトリックス
シトリックス・システムズ (@citrix_jp) - X（旧Twitter）
Citrix Japan PR (@citrix_pr_jp) - X（旧Twitter）
シトリックス・システムズ (CitrixJapan) - Facebook
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