シナヤ

シナヤ：ルーマニアの山岳リゾート

シナヤ（Sinaia）は、ルーマニアのプラホヴァ県に位置する美しい山間の町です。その名は、聖書に登場するシナイ山に由来するシナヤ修道院にちなんで名付けられました。

地理と概要

シナヤは、プロイェシュティの北西約60km、ブラショフの南約50kmに位置し、ブチェジ山脈の東側にあります。プラホヴァ川の渓谷に沿って広がり、標高は約767mから860mです。この地域は、その美しい景観と豊かな自然で知られています。

観光名所

シナヤは、ハイキングやウィンタースポーツ、特にダウンヒルスキーの人気の観光地です。以下のような多くの観光スポットがあります。

ペレシュ城（Peleș Castle）: ルーマニア王カロル1世が夏の離宮として建てた豪華な城です。その美しい建築と内装は必見です。
シナヤ修道院（Sinaia Monastery）: シナヤの町の名前の由来となった修道院で、歴史的な価値があります。
ペリショル城（Pelișor Castle）: ペレシュ城の近くにある、より小さく、魅力的な城です。
シナヤ・カジノ（Sinaia Casino）: かつて社交の中心地であった、歴史的なカジノです。
シナヤ駅（Sinaia Train Station）: 歴史的な建築物であり、鉄道ファンにとっては興味深い場所です。
フランツ・ヨーゼフの絶壁、聖アナの絶壁: 絶景ポイントとして知られています。

また、偉大なルーマニア人作曲家ジョルジェ・エネスクの夏の別荘もシナヤにありました。

気候

シナヤの気候は、標高の低い山地の特徴を示します。年間平均気温は8°Cで、6月の平均気温は15°C、1月の平均気温は-4°Cです。夏は涼しく、初夏は雨が多い傾向があります。冬は比較的温暖で、かなりの雪が降ります。年間平均降雨量は900mmで、6月に最も多く（173mm）、9月（55mm）と2月（40mm）に最も少なくなります。

通常、11月には雪が降り始め、3月から4月にかけて溶けますが、時には5月上旬まで残ることもあります。積雪の厚さは、標高の低い場所では20cm程度ですが、高い場所では3mに達することもあります。

近年、地球温暖化の影響により、シナヤでは夏が短くなり、気温が30℃を超えることが増えています。春と秋の期間は短縮され、比較的長い冬（10月下旬から5月上旬）が訪れるようになっています。冬の気温は低下傾向にあり、氷点下（-19℃から-25℃）になることもあり、ブリザードに見舞われることもあります。

自然の癒し

シナヤの気候は、人々を元気づけ、刺激を与え、人体に有益であると考えられています。クイネルイ谷には、硫黄鉄の鉱水を含む温泉があり、その他の可溶性ミネラルも含まれています。

自然保護

シナヤの町とその周辺地域では、植物の伐採や採取が制限されています。木の伐採も許可されていません。高山植物の採取は禁止されており、これらの植物を採取して販売することには厳しい罰則が科せられます。観光客のキャンプは、指定されたキャンプ地でのみ、必要な保護基準に従って許可されます。

シナヤの山地はブチェジ自然公園地域に位置しています。自然公園は合計326.63平方kmの面積を持ち、58.05平方kmが厳重な保護下に置かれています。ブチェジ自然保護地域には、ヴルフル・ク・ドル山、フルニカ山、ピアトラ・アルサ山などが含まれます。山岳地帯では、山岳警察と山岳救助隊が継続的にパトロールを行っています。

クムパトゥ地区の入り口には、『シナヤのハンノキ森』植物保護地があり、ルーマニア・アカデミーとブカレスト生物学研究所の保護下にあります。同じ地区には、ユネスコとジャック＝イヴ・クストーの支援のもとで環境学調査基地があります。これはブカレスト大学所属の機関で、自然保護用の実験室にあるブチェジ山脈の植物博物館を含んでいます。

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