シネシティ文化

シネシティ文化：鹿児島天文館の記憶

シネシティ文化は、かつて鹿児島県鹿児島市千日町（天文館）に存在した映画館です。有楽興行株式会社によって運営され、1988年7月23日に開館、2006年6月5日に休館しました。

概要

開館時は4つのスクリーンを、閉館時には7つのスクリーンを備え、多くの映画ファンに親しまれました。建物は「九州初の複合映画ビル」とされ、時には「九州初のシネマコンプレックス」とも呼ばれました。現在、跡地にはカラオケ館天文館店、快活CLUB天文館店、サープラ天文館あそびタウンが所在しています。

所在地とアクセス

〒892-0843 鹿児島県鹿児島市千日町5-6
鹿児島市電2系統「天文館通」電停下車後、徒歩でアクセスできました。

閉館時の観客定員数

スクリーン1：250席
スクリーン2：220席
スクリーン3：140席
スクリーン4：90席
スクリーン5：90席
スクリーン6：47席

歴史

有楽興行の歴史

福岡市に本社を置く有楽興行は、1953年から九州地方や山口県で映画館を運営していました。1957年には鹿児島市に進出し、既存の富士館を文化劇場と改称。1959年には冷房設備を導入し、1963年には洋画ロードショー館へと転換しました。さらに、オリオン座を第2文化とし、後に有楽座と改称、ロマン劇場を増設し、2スクリーン体制としました。

1985年にはミニシアターブームに乗じて文化プラザ80と文化プラザ120を開館。ハリウッドやヨーロッパ映画の名作を上映しました。

シネシティ文化の開館

1988年、文化劇場を建て替え、シネシティ文化が誕生しました。地上7階・地下1階の建物は、当時としては画期的な複合映画ビルであり、洋画を中心としたロードショー館として人気を集めました。地方都市の映画館が減少する中、「ビデオに負けぬと劇場」と宣伝し、観客を呼び込みました。

1990年には5スクリーンに拡大し、1992年に鹿屋市の映画館が閉館した後は、一時的に県内で唯一の映画館となりました。1993年には文化プラザを閉館し、シネシティ文化に一本化。2000年には県内の映画館数が12館と、九州・沖縄で最少となりました。

2003年には6スクリーンに拡大。座席は自由席で、飲食物の持ち込みも自由でした。2005年には種子島を舞台にした映画が上映され、主演俳優による舞台挨拶も行われました。2006年にも映画上映と監督による舞台挨拶が行われました。

シネシティ文化の閉館

2004年、九州新幹線開業に伴い、鹿児島中央駅にアミュプラザ鹿児島が開業。同時に鹿児島ミッテ10が開館し、シネシティ文化の観客数は激減しました。2006年6月には「さようなら興行」として『ニュー・シネマ・パラダイス』を上映し、休館となりました。その後、経営再開を模索するも断念し、文化劇場時代から49年の歴史に幕を閉じました。

同年10月には、郊外に新たなシネマコンプレックスが開館し、天文館から映画館が一時的に姿を消しました。この状況を憂慮した市民有志がコミュニティシネマを設立し、後のガーデンズシネマ開館へと繋がりました。2009年時点の県内の映画館数は24館となり、九州・沖縄で7位でした。シネシティ文化の跡地は、ゲームセンターなどを経て、現在ではカラオケ店やネットカフェなどになっています。

シネシティ文化は、鹿児島市民にとって、映画文化を育んだ大切な場所でした。その閉館は、天文館という街の変化を象徴する出来事だったと言えるでしょう。

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