シネテープ

シネテープの概要と歴史

シネテープは主に映画用フィルムの音声素材に用いられる磁気記録式音声媒体で、フィルムと同じ幅と形状を持っています。特にパーフォレーションが施されているため、映像と音声の同期が容易になる特徴があります。この特性により、映像のコマ単位で音声を正確に合わせることが可能です。

シネテープの制作プロセス

シネテープは、トラックにセリフ、BGM、効果音などを個別に記録し、それぞれのトラックを映像と組み合わせてミックスダウンするというプロセスを経て制作されます。記録された音声は非常にクリアで高域特性を持っており、特に1980年代中頃まではフィルムとシンクロさせてリアルタイムでの放送に使用されました。しかし、これは全てのフィルム作品に適用されたわけではなく、製作会社やキー局ごとにオプティカル・サウンドとの選択に差が見られることもありました。

コスト面の理由から、再放送やビデオソフト化時にはシネテープが使用されないケースが多く、結果として多くの素材が廃棄されてしまうことがあったのです。また、テレビCM制作の際にも、テレシネによる放送の時にのみ使用されていました。

磁気録音の進化

シネテープはフィルムとのシンクロ方式が主流ではありましたが、東宝映像サウンドスタジオではフィルムのサウンドトラックに磁気帯を加える方式も存在しました。さらに、横浜シネマでは1978年に16mmレーザー光学録音システムを導入しましたが、いずれもコスト上の問題から広く普及することはありませんでした。

メディアの変化に伴うシネテープの役割

1980年代以降、フィルムとのシンクロ形式から1インチCタイプのアナログVTRを用いたパック編集に移行した結果、シネテープは、オプティカル・サウンドを使っていた作品にも有効に使用されるようになりましたが、次第に一部の映画作品にしか利用されなくなりました。VTRマスターやソフト版でも音声の参照が重要視され、保存状態や処理によっては放送時よりも高音質が期待できることもあります。

特にアニメ制作会社では多くの作品でシネテープが保管されているものの、制作本数が多い場合にはネガやポジフィルムの保存が優先され、結果的に関連素材が廃棄されることが多く、そういった著名作品は光学音声のみの収録となってしまうこともあります。

シネテープの保存状態と劣化

シネテープは製造時に映画用フィルムと同質のトリアセチルセルロースベースが使われていたため、加水分解による物理的劣化を免れませんでした。適切な温湿度での保管がなされない場合、録音から10年以内に劣化が進み、物理的に破損する可能性があります。このため、多くの貴重なシネテープが失われてしまいました。

シネテープの技術的仕様

シネテープには主に16ミリと35ミリの規格があります。16ミリシネテープの初期モデルはモノラル1トラック仕様でしたが、1970年代初期にはステレオ対応の2トラック仕様に改訂されました。35ミリシネテープも同様に、初期はモノラル1トラック仕様から、その後ステレオ対応に進化しました。さらに、4チャンネルステレオ記録にも対応し、映画フィルムワイドスコープサイズに対応したシステムも展開されています。

関連項目

シネテープは映画音声技術の一環として、サウンドトラックやオプティカル・サウンドと連携して発展してきました。音声の記録方法はジャンルや形式によって進化を続けており、これからもその重要性は変わらないでしょう。

もう一度検索