シネマ (バンド)

シネマ (Cinema): 短命に終わったプログレッシブ・ロック・バンド

シネマは、1982年1月に元イエスのメンバーであるアラン・ホワイトとクリス・スクワイアが、ギタリストのトレヴァー・ラビンと共に結成した短命なプログレッシブ・ロック・バンドです。前年には、スクワイアとホワイトは元レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジとバンド「XYZ」を結成しようと試みましたが、実現には至りませんでした。

イエスへの発展

シネマは当初、1983年にデビュー・アルバムをリリースする計画を立て、ラビンが中心となって多くの楽曲制作に取り組みました。その後、キーボード奏者のトニー・ケイ、そしてイエスの創設メンバーであるジョン・アンダーソンが加わりました。当時、イエスは解散状態にありましたが、このメンバー構成の変化が、後にイエスの再結成へと繋がります。

彼らはアルバム『ロンリー・ハート』のレコーディングを開始しましたが、その過程でバンドは「シネマ」の名前を取りやめ、「イエス」として活動を継続することに決定しました。

幻の楽曲たち

シネマ時代のセッションから生まれたデモ音源には、ラビンがリード・ボーカルを務める「Make It Easy」と「It's Over」、そしてスクワイアがボーカルを担当した「It Can Happen」の初期バージョンが含まれています。これらの楽曲は、1991年のボックスセット『イエスイヤーズ』に収録され、その後、2004年にライノ・レコードからリリースされたアルバム『ロンリー・ハート』リマスター・バージョンのボーナストラックとしても収録されました。

また、シネマが手がけた未発表曲には、20分にも及ぶインストゥルメンタルの「Time」や「Carry On」といった楽曲も存在します。

「Time」のイントロ部分は、シネマというバンドへのトリビュートとして、『ロンリー・ハート』に収録されたインストゥルメンタル曲「Cinema」として結実しました。

メンバー

クリス・スクワイア (Chris Squire) - ベース、バック&リード・ボーカル
アラン・ホワイト (Alan White) - ドラム、パーカッション
トレヴァー・ラビン (Trevor Rabin) - ギター、キーボード、リード&バック・ボーカル
トニー・ケイ (Tony Kaye) - ハモンドオルガン、ピアノ

シネマは短命なバンドでしたが、その活動はイエスの歴史において重要な役割を果たしました。彼らの音楽は、プログレッシブ・ロック・ファンにとって興味深いものであり、イエスの進化を理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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