シネマライズ

シネマライズの歴史と影響

シネマライズ（Cinema Rise）は、東京都渋谷区宇田川町に位置する伝説的なミニシアターです。1986年6月6日に開館し、2016年1月7日に閉館するまで、約30年にわたり多くの映画ファンに親しまれてきました。この映画館は、渋谷の先進文化の象徴としての役割を果たし、ミニシアター文化の中心として知られていました。

沿革と作品

シネマライズは、開館当初から多彩な作品を上映し続けました。初上映作はフレッド・スケピシ監督・メリル・ストリープ主演の『プレンティ』であり、1980年代のミニシアターの一翼を担いました。1986年7月から11月まで公開された『ホテル・ニューハンプシャー』は、観客数約7万という大ヒットを記録し、シネマライズの名をさらに広めました。

1992年には独立系映画館としての道を歩み始め、それに続く1993年にはクエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』を含むアート性と娯楽性を兼ね備えた作品を多く上映しました。このミニシアターは、ファッションや感性を重視した作品選定で、映画ファンの支持を集めていきます。

1992年以降の数年間、この映画館は多くのヒット作を輩出しました。特に1996年の『トレインスポッティング』が30週にわたって公開され、実質的な興行収入記録を更新しました。日本全国でミニシアターブームを引き起こす要因となりました。

ミニシアター文化への貢献

シネマライズは、単なる映画館にとどまらず、先鋭的な映画の発信地となりました。特に、アート系作品を積極的に取り入れ、自館の特性を際立たせていました。シネマライズで上映された作品には、デヴィッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』や、レオス・カラックス監督の『ポンヌフの恋人』といった強烈な印象を残す映画が含まれています。

また、2000年代には、若手監督の作品や話題作を上映し続け、映画ファンから広く支持を得ました。ここでも、エンターテインメント性とアート性を兼ね備えた選定が重要視され、他の映画館と差別化されました。

閉館とその後

シネマライズは2010年にスクリーン数を減らし1スクリーン化を実施するものの、2016年には閉館に至ります。後にはライブハウス「WWW」へと生まれ変わりました。この施設の閉館は、多くの映画ファンにとって大きな喪失感をもたらし、シネマライズ時代を懐かしむ人々の心に残り続けています。

建築と特徴

シネマライズの建物は、建築家の北川原温によるもので、外観は印象的なアルミダイキャストの壁が特徴的です。また、内装では多用される階段や、映画監督のサインが彩るロビーが訪れる人々に強い印象を与えました。さらに、過去には平日料金を学生向けに1000円にすることで、若学生層の観客を呼び込む努力も行われていました。

シネマライズは、渋谷の映画の歴史を語る上で絶対に外せない存在であり、多くの人々に刺激的で独自の映画体験を提供していました。現在、跡地はライブハウスとして新たな文化空間に生まれ変わっていますが、シネマライズの影響は色あせることなく、今もなお映画ファンの心に生き続けています。

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