シネ・ヌーヴォ

シネ・ヌーヴォ

大阪府大阪市西区九条に位置するシネ・ヌーヴォは、大阪を代表するミニシアターの一つとして、多くの映画ファンに親しまれています。同じく大阪市内のミニシアターである第七藝術劇場などと並び称される存在であり、特にアート系や単館系と呼ばれる作品の上映に力を入れています。

劇場は大小二つのスクリーンを備えています。一つはメインとなる「シネ・ヌーヴォ」スクリーンで69席、もう一つは2階に設けられた小規模な「シネ・ヌーヴォX」スクリーンで24席です。これにより、様々な規模やジャンルの作品に対応できる上映体制を整えています。

設立とその背景

シネ・ヌーヴォは、1997年（平成9年）1月18日に開館しました。その設立には「映画新聞」の関係者であった景山理氏、江利川憲氏、松井寛子氏らが中心的な役割を果たしました。特筆すべきは、運営会社である「株式会社ヌーヴォ」が、一般の映画ファンからの市民株主による出資によって設立された点です。これは、地域社会や映画を愛する人々が一体となって映画館を支えるという、ユニークな運営形態を示しています。

開館当時、大阪には東京に比べてミニシアターの数が非常に少なく、アート系や多様なジャンルの映画に触れる機会が限られていました。シネマ・ヴェリテ（後に閉館）など数館が存在したものの、その数は十分とは言えず、作品の選択肢においても東京との間に明らかな差がありました。このような状況の中、シネ・ヌーヴォは多様な映画を上映する場を提供し、大阪における映画文化の活性化に貢献することを目指して誕生しました。

建物の歴史と特徴

シネ・ヌーヴォが入居する建物は、実はその歴史が古く、過去にも映画館として利用されてきた経緯があります。九条東洋劇場（1992年閉館）、東洋レックスシネマ（1993年営業）、ACT活動写真館（1995年-1996年営業）と、短期間での開館と閉館を繰り返していました。シネ・ヌーヴォは、この歴史ある建物を引き継ぎ、新たな映画の灯をともしたのです。

劇場内の内装は、個性的な舞台表現で知られる劇団・維新派が手掛けたことでも知られています。彼らによる独特の空間デザインは、映画鑑賞という体験にさらなる深みを与えています。

シネ・ヌーヴォXの開設

2006年（平成18年）8月には、2階に新たなスクリーン「シネ・ヌーヴォX」が開設されました。24席という小規模ながら、デジタル上映設備を備えたこのスクリーンは、主にドキュメンタリー作品や特定のテーマに基づく特集上映、あるいは独立系映画作家の作品など、より専門的かつ多様な作品を紹介する場となっています。これにより、シネ・ヌーヴォは幅広いジャンルの映画を取り扱うことが可能となり、大阪の観客の多様な期待に応えようとする姿勢を一層明確にしました。

運営と関連施設

シネ・ヌーヴォの運営は、設立母体である株式会社ヌーヴォが行っています。開館当初は、設立中心人物の一人である景山理氏が代表を務めていましたが、2008年以降は同館でのアルバイト経験を持つ山崎紀子氏が支配人を務めています。これは、劇場をよく知る人物が運営の中心を担っていることを示唆しています。

また、兵庫県宝塚市にあるミニシアター「シネ・ピピア」は、シネ・ヌーヴォの姉妹館にあたります。シネ・ヌーヴォ代表（開館当初）の景山理氏は、シネ・ピピアの支配人も兼任しており、両館は連携しながら関西におけるアート系映画の上映を支えています。

市民出資によって設立され、多様な作品を紹介し続けるシネ・ヌーヴォは、大阪の映画文化において欠かせない存在であり、多くの映画ファンにとって貴重な鑑賞機会を提供し続けています。

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