シノメガケロス属

シノメガケロス属について

シノメガケロス属（Sinomegaceros）は、主に東アジアで知られる絶滅したシカ科の分類群です。この属は、前期更新世から後期更新世にかけての時代に存在しており、特徴的な掌状の角を持つことが大きな特徴です。特によく知られている種には、日本列島で中期から後期更新世に生息していたヤベオオツノジカや、中国で前期更新世後期から後期更新世に確認されているハレボネオオツノシカがあります。

分類

シノメガケロス属は、様々なシカの亜属や属と共に「オオツノジカ族（Megacerini）」を構成しています。この族には、メガロケロス属やプラエメガケロス属、ネオメガロケロス属などが含まれ、これらは多様な種が存在します。1932年、古生物学者の楊鍾健は周口店で発見された化石からオルドスオオツノシカとハレボネオオツノシカを報告しました。当初はシカ属に分類されましたが、翌年にヴィルヘルム・オットー・ディートリッヒによって「シノメガケロス属」という名称が提唱されました。 これは、後の研究においても使用され続け、その時々の研究者の見解が未だに異なることから、この属の分類は複雑です。

種の一覧

シノメガケロス属には、もともといくつかの種が含まれています。

• - S. ordosianus C.C. Young, 1932：オルドスオオツノシカ
• - S. pachyosteus Young, 1932：ハレボネオオツノシカ
• - S. flabellatus Teilhard de Chardin, 1936：フラベラトゥスオオツノシカ
• - S. yabei Shikama, 1938：ヤベオオツノジカ
• - S. konwanlinensis Chow, Hu and Lee, 1965
• - S. tadzhikistanis Vislobokova, 1988

これらの種は異なる時代や地域で発見されており、それぞれの適応や生息環境についての情報を提供しています。

進化の過程

シノメガケロス属の中で最も古いとされる種は、約110〜115万年前の麗水層下部から発見されたS. konwanlinensisです。ハレボネオオツノシカは約100万年前に現れ、その後オルドスオオツノシカも約3.5-5万年前に存在していたことが知られています。ヤベオオツノジカは、日本列島において中期更新世の後半に登場したとされています。興味深いことに、ハレボネオオツノシカとヤベオオツノジカの両方は、S. konwanlinensisから進化した可能性が高いと考えられています。ヤベオオツノジカの信頼できる最新の存在時期は、約40,000年前に遡ると言われています。

まとめ

シノメガケロス属は、極めて興味深い進化の歴史を持つシカ科の一部であり、その繁栄と絶滅の過程は古生物学において重要な研究分野となっています。この属に含まれる種は、それぞれ異なる生息地での適応や生態を示し、古代の環境や生態系を知る手がかりを提供しています。

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