シビウ市電

シビウ市電のレンファと復興

シビウ市電（Tramvaiul din Sibiu）は、ルーマニアの都市シビウでかつて運行されていた路面電車です。1893年に公共交通機関の導入が始まり、最初はトロリーバスの導入が検討されましたが、様々な問題があり、結局1905年から路面電車が運行されることになりました。これ以降、シビウ市内の路線網は拡大し続け、1948年には市郊外のラシナリまで延びました。

歴史的背景

シビウ市電の歴史はオーストリア＝ハンガリー帝国の時代にさかのぼります。当初のトロリーバスは雨天時のスリップ問題に悩まされ、路面電車はその安定性から導入されました。運営が開始されると、路線網の拡大が続きましたが、1966年には老朽化により一部路線が廃止され、ついには1969年から1972年にかけて市内の路線網全体が撤去されました。しかし、シビウとラシナリを結ぶ11 kmの郊外路線は残され、1990年代以降はスイスから譲渡された電車が使用されるようになりました。

運行の休止と復活

最終的に、シビウ市電は2011年に運行を休止しました。その後、2012年にはラシナリ市に運営権が移管され、復活の道が開かれました。2013年から2017年にかけて線路や施設の整備が行われ、2018年には観光路線としての運行が再開されました。現在では、観光客の貸切運転も行われており、運賃は大人8レイ、子供4レイに設定されています。さらに、リクエストに応じて観光案内や地元の名産品の試飲も可能です。

現在の車両と過去の車両

再開後、現在シビウ市電で使われている車両は、オーストリアから譲渡された1951年製の電車（26 111）です。この車両はもともとスイスの私鉄で使用されていましたが、その後余剰となり2017年にラシナリ市が購入しました。設計上は最高60 km/hの速度で走行可能ですが、実際にはそれより遅い速度での運行が行われています。

過去には、ブカレストで製造されたV56や、ルーマニアの標準型路面電車ティミス2、さらにはジュネーヴから譲渡されたスイス標準型路面電車など、多様な車両が存在しました。特にティミス2はシビウ市電に導入されるも、重量が軌道にとって過重であったため、早期に運用を離脱しました。また、スイス標準型路面電車は2011年の運行終了まで主力車両として使われ、レストランカーや移動劇場に改造された車両もありました。

観光名所としての活用

2021年現在、シビウ市電はただの交通手段にとどまらず、観光名所としての役割も担っています。観光客に特別な体験を提供し、地元の文化や特産品を紹介する機会が多くなっています。特徴的な車両や美しい景観を一緒に楽しめることで、シビウ市電は市の歴史と文化を体験する重要な窓口となっています。

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