シビウ県

ルーマニア、シビウ県：歴史、文化、そして自然の織りなす魅力

ルーマニアのトランシルヴァニア地方に位置するシビウ県は、豊かな歴史と文化、そして美しい自然を兼ね備えた地域です。県都シビウを中心に、多様な民族が織りなす独特の文化と、活気ある経済活動が特徴です。

人口と民族構成

2021年の国勢調査によると、シビウ県の人口は約388,326人です。主要民族はルーマニア人（約313,119人）が圧倒的多数を占め、ロマ人、ハンガリー人、ドイツ人も少数ながら暮らしています。歴史的には、トランシルヴァニア・ザクセン人が多数を占めていましたが、第二次世界大戦後、ドイツへの移住などによって人口が減少しました。宗教では、ルーマニア正教会が88.9％と大多数を占めています。

歴史と文化

シビウ県は、中世以来、トランシルヴァニア・ザクセン人たちの拠点として栄えました。第二次世界大戦中は、ナチス・ドイツへの協力の疑いをかけられた多くのザクセン人がソビエト連邦の強制収容所へと送られるという悲劇的な出来事がありました。戦後も、共産主義政権下では、ドイツ系住民は迫害を受け、政治的な権利を奪われました。1989年のルーマニア革命後には、多くのザクセン人がドイツに移住し、シビウ県の人口構成にも変化が生じました。

現在では、シビウ県各地に残る要塞化された教会や中世の村落は、トランシルヴァニア・ザクセン人の歴史と文化を物語る貴重な遺産となっています。これらの歴史的建造物群の一部は、ユネスコ世界遺産にも登録されています。代表的な観光地としては、シビウの中世の要塞群や歴史地区、メディアシュの中世市街地区、ビエルタン、ヴァレア・ヴィイロール、チスナディエ、チスナディオアラ、スリムニク、アグニタ、クルツァ修道院などが挙げられます。

地理

シビウ県の面積は約5,432平方キロメートルです。南部にはファガラシュ山脈などの標高2,500メートルを超える山々が連なり、県面積の30％はロトル山脈とチンドレル山脈に属する山岳地帯です。オルト川が県内を流れ、トランシルヴァニア地方とワラキア地方を結ぶ交通の要衝となっています。北部はトランシルヴァニア高原が広がっています。主要河川としては、南部のオルト川と北部のトゥルナヴァ川があります。

経済

シビウ県は、ルーマニア国内でも活発な経済活動を誇り、高い外資誘致率を誇ります。主要産業は、機械及び自動車部品製造、食品加工、織物産業、林業などです。また、県北部には豊富な天然ガス資源があり、国内有数の産出地となっています。共産主義時代には、化学工業複合施設による環境汚染が深刻な問題でしたが、1989年以降、多くの工業施設が閉鎖され、環境回復が進んでいます。

行政区画

シビウ県は、2つの都市、9つの町、53の基礎自治体から構成されています。シビウとメディアシュが県内の主要都市です。

まとめ

シビウ県は、歴史、文化、自然が融合した魅力的な地域です。中世の遺産と現代の活気が共存し、訪れる人々を魅了しています。多様な民族が織りなす文化、雄大な自然、そして活気ある経済は、シビウ県をルーマニアの中でも特別な存在にしています。

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