シベリア出兵

シベリア出兵について

シベリア出兵（Siberian Intervention）とは、1918年から1922年の間に実施された、日本をはじめとする連合国によるロシアへの軍事介入を指します。この出兵は、主に「革命軍に囚われたチェコ軍団を救出する」という名目で行われたものであり、当時の国際情勢を反映しています。また、この行動は「シベリア事変」とも呼ばれ、ロシア国内の共産主義勢力に対する干渉戦争の一部と見なされています。

背景

第一次世界大戦において、ロシアはドイツ帝国やオーストリア・ハンガリー帝国との戦争に苦しみ、敗走を重ねていました。1917年には2月革命、11月にはボリシェヴィキによる十月革命が発生し、これによりロシア帝国は崩壊します。ボリシェヴィキはドイツと講和し、連合国への脅威となったため、干渉戦争が計画されました。特に日本は、地理的に近く、かつ西部戦線での戦力が不足していたことから、主力部隊としての出兵を提案されたことが背景にあります。

日本の出兵

1918年8月、日本はウラジオストクに上陸し、増兵を繰り返していきました。最終的には約7万2千人を派兵し、ハバロフスクや東シベリアを占領します。しかし、厳しい寒さとパルチザンの抵抗により、日本側の統治計画はあえなく失敗しました。1919年秋、白軍のアレクサンドル・コルチャーク政権が崩壊することで、連合国の計画は頓挫し、英仏は撤兵を決定しました。

目的の変更と撤兵

出兵当初は、チェコ軍団の救出と共産主義勢力の封じ込めが目的でしたが、日本側は居留民の保護や過激派の影響を防ぐという名目に切り替え、駐兵を継続しようとしました。しかし、この決定はアメリカをはじめとする他国からの不信感を招くことになり、日本国内でも厳しい批判が集まりました。最終的に、日本も1922年10月に撤兵することとなりました。この出兵によって、日本は3500名以上の死傷者を出し、巨額の戦費を消費した上に、日米関係の悪化や日ソ国交回復にも影響を及ぼしました。

日本軍の戦闘と実態

日本軍は出兵後、パルチザンとの戦闘を繰り広げました。1919年以降、労働者や農民からなるパルチザンによる反撃を受け、交通の要衝を確保するのが精一杯の状況に陥りました。日本軍は懲罰攻撃を行いましたが、日々過酷な戦闘と厳しい気象条件が続く中、士気は低下し、軍紀の維持も困難でした。内部報告書には日本軍兵士の不法行為や低い士気の実態が記録されています。

ポーランド孤児の救済

この出兵中、日本赤十字社はロシア革命の混乱により取り残されたポーランド孤児の救済活動も行っています。1920年と1922年に二度にわたり、約800名の孤児が日本の支援を受けて祖国に帰還しました。この活動は、日本とポーランドの関係を深める一助となりました。

結末

シベリア出兵は、日本にとって外交上の失政とも評価され、その目的は達成されることなく撤兵を迎えました。この軍事介入は、後の国際情勢に大きな影響を与え、戦後日本の外交方針に新たな課題をもたらすこととなりました。

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