シマカコソウ

シマカコソウについて

シマカコソウ（島夏枯草、学名: Ajuga boninsimae）は、日本の小笠原諸島固有の多年草で、シソ科キランソウ属に属します。別名としてシマキランソウとも呼ばれ、この植物は特にその美しい花と稀少性から注目されています。

特徴

シマカコソウは、高さが15〜40センチメートルに成長し、全体に短い毛が覆っています。特に茎や花序にはやや長い毛が密生しており、これが特徴的です。葉は対生で、長さ約0.5〜2センチメートルの葉柄を持ち、葉の長さは2〜6センチメートル、幅は1〜3センチメートルに及びます。葉の先端は円みを帯び、周囲には波状の鋸歯があります。

花期は11月から翌年1月で、夏の間は一時枯れてしまいますが、11月末ころになると新しい芽が出始めます。花は枝先の近くにある葉腋から出て、萼は鐘状で長さ約6〜7ミリメートル、5つに裂けた形状を持ち、裂片は鋭い三角形です。花冠は筒状の唇形で、白色が特徴であり、長さは約1.5センチメートル。花の上唇は浅く2裂しており、下唇は大きな中央の裂片を持っています。果実は約2ミリメートルの長さで、淡い茶色で網目模様があります。

分布と生育環境

シマカコソウは、日本の父島、母島、妹島という小笠原諸島の限られた場所にのみ自生しています。日当たりの良い湿った岩場を好むこの植物ですが、現在その個体数は極めて限られています。生態の詳細はまだ明らかになっていませんが、種の存続が脅かされている要因として、台風や土地の崩壊などの自然災害、さらには野生化したノヤギによる食害や外来植物の影響が考えられています。

また、日本の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により、この種は国内希少野生動植物種に指定されています。このことにより、農林水産省、国土交通省、環境省が協力し、「シマカコソウ保護増殖事業計画」が策定され、自然状態での安定した存続を目指す努力が続けられています。

状態評価

シマカコソウは、環境省レッドリストにおいて絶滅危惧IA類（CR）に分類されています。この評価は2017年に行われ、2008年には国内希少野生動植物種として法律により保護されることが決定されました。さらに、2009年にはその保護と増殖に向けた具体的な策が策定されるなど、絶え間ない保護活動が展開されています。

このように、シマカコソウはその珍しさと美しさで多くの関心を集めており、今後もその生態の保全が重要な課題となっていくでしょう。

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