シムコプター

シムコプター (SimCopter)

1996年にマクシス（Maxis、現在はエレクトロニック・アーツに買収）から発売された『シムコプター』は、リアルタイムでヘリコプターを操縦するフライトシミュレーションゲームです。プレイヤーはヘリコプターパイロットとなり、都市で発生する様々な問題の解決に挑みます。

ゲームの目的

このゲームの主な目的は、都市で発生する火災、救急搬送、犯罪などの緊急事態に対応することです。プレイヤーはヘリコプターを操縦し、事件現場へ急行、消火活動や負傷者の救助、犯人の追跡などを行います。また、同社の都市育成シミュレーションゲーム『シムシティ2000』で作成した都市のマップデータを読み込み、自ら作り上げた都市を舞台にミッションをこなすことも可能です。

登場するヘリコプター

ゲームには、様々なモデルのヘリコプターが登場します。以下はその一部です。

Schweizer 300
Bell 206 JetRanger
MD 500
MD 520N
Bell 212
Agusta A109
Dauphin 2
MD Explorer
Apache

これらのヘリコプターは、それぞれ異なる性能を持っており、ミッションの内容やプレイヤーの好みに合わせて選択することができます。

イースター・エッグ騒動

『シムコプター』は、そのゲーム内容だけでなく、あるイースターエッグによっても注目を集めました。当時マクシスの社員であったジャック・サーヴィンが、上半身裸でSPEEDOのパンツを履き、互いに抱き合ったりキスをしたりする男性キャラクター群を特定の日に大量発生させるという仕掛けをゲームに組み込んだのです。

これらのキャラクターの乳首は、本来通路を照らすための特殊なレンダリングモードで描かれていたため、天候が悪い日でも遠くから視認できました。さらに、これらのキャラクターが大量に発生しヘリコプターの周りに集まるバグも存在しました。プレイヤーは、ヘリコプターの回転翼でキャラクターをみじん切りにしたり、病院へ搬送したりすることで、簡単にゲーム内通貨を稼ぐことができました。

このイースターエッグは発売直後に発見され、後期版からは削除されました。しかし、この騒動が原因で本作の発売日は延期となり、マクシスはクリスマス商戦に乗り遅れることになりました。マクシスは、サーヴィンを無許可のコンテンツを導入したとして解雇しました。

サーヴィンは、マクシスの労働環境に対する不満からこのような行為に至ったと述べています。また、この騒動を受けて、ゲイのエイズ感染問題に取り組む団体ACT UPがマクシスの製品のボイコットを呼びかけましたが、サーヴィン自身はボイコットには否定的な見解を示しました。

数ヶ月後、RTMarkという組織が、この男性キャラクターをゲームで発生させることを含む16の創造的な破壊行為を公表しました。サーヴィンはこの組織から5,000ドルの報酬を受け取ったとされています。

まとめ

『シムコプター』は、都市を舞台にしたフライトシミュレーションゲームとして、そのゲーム性と自由度の高さから多くのプレイヤーに楽しまれました。しかし、開発者の意図しないイースターエッグ騒動は、ゲーム業界における倫理や表現の自由について議論を呼ぶきっかけにもなりました。この事件は、ゲーム開発における内部統制の重要性を示すとともに、ゲームコンテンツが社会に与える影響について改めて考えさせられる出来事となりました。

外部リンク

マクシス公式サイト

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