シモン・ド・ラ・ルベール

シモン・ド・ラ・ルベール（1642年～1729年）は、17世紀フランスを代表する外交官の一人です。彼は歴史書『シャム王国誌』の著者として知られています。

フランスのトゥールーズで生まれたルベールは、幼い頃からラテン語に秀でていたと伝えられています。成人後、パリへ出て1672年にフランスのスイス大使館書記官に就任し、その才能を開花させました。

1682年、ルベールはフランス東インド会社のクロード・セブレ・ドュ・ブレや宣教師ギー・タシャール、そしてフランス軍を率いて、タイのアユタヤ王朝へと派遣されました。この派遣には、アユタヤ王朝の高官であったチャオプラヤー・コーサーパーンも同行していました。ルベールの使命は、東南アジアにおけるオランダやイギリスに対するフランスの貿易上の優位性を確立すること、そしてタイを植民地化するためにカトリックを普及させることでした。

ルベールはアユタヤに99日間滞在し、アユタヤ王朝との間で重要な条約を締結しました。この条約には、プーケット島における錫の採掘権の獲得や、メルギ島の割譲などが盛り込まれていました。これらの交渉を通じて、フランスはタイにおける経済的・政治的影響力を拡大しようと試みました。

しかし、ルベールのタイにおける活動は、単に外交交渉に留まりませんでした。彼は『シャム王国誌』を著し、当時のタイの社会、文化、政治体制を詳細に記録しました。この書籍は、17世紀のタイを知る上で貴重な資料となっています。

ルベールの外交手腕は、フランス本国においても高く評価されました。彼はその後も外交官として活躍し、フランスの国益のために尽力しました。

シモン・ド・ラ・ルベールの生涯は、17世紀のヨーロッパ列強によるアジア進出の歴史を象徴するものです。彼の活動は、フランスとタイの関係に大きな影響を与え、その足跡は今日まで語り継がれています。

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