アユタヤ王朝

アユタヤ王朝とは

アユタヤ王朝（1351年 - 1767年）は、現在のタイ中部に位置するアユタヤを中心に栄えたタイ族の王朝です。創設者はラーマーティボーディー1世（ウートーン王）で、複数の王家が交代する中で発展を遂げました。地理的な優位性を活かし、貿易を国の重要な柱とし、中国、日本、琉球、東南アジア、アラブ、ペルシア、ヨーロッパなどと活発な交易を行い、莫大な富を蓄積しました。この富を背景に、クメール文化を吸収しつつ、中国、ヨーロッパ、ペルシャなどの文化を取り入れた独自の華やかな文化が花開きました。

歴史

建国期

ウートーン王の出自は諸説ありますが、有力な説としてはタイ中部の小国の王家出身と考えられています。当時、アユタヤ周辺には複数の小国が並立しており、スコータイ王朝の影響は限定的でした。ウートーン王は、姻戚関係にあったスパンナプーム王家の協力を得てラーマーティボーディー1世として即位し、上座部仏教を国教と定め、法典を整備しました。14世紀末までには東南アジア最大の勢力となり、クメール王朝の一部を支配下に置きました。

15世紀

スコータイ王国を併合し、勢力を拡大する一方で、マレー半島のマラッカ王国が独立を宣言。アユタヤはマレー半島南部を失うものの、北部を維持し、中国商人との貿易で経済的な恩恵を受けました。15世紀末には、スコータイ朝を完全に併合しました。

16世紀

ポルトガルが外交使節を派遣し、アユタヤは欧米勢力と初めて接触します。日本人もアユタヤに移住し、貿易で活躍しましたが、琉球王国は交易拠点を失い、使節派遣は途絶しました。また、ビルマからの侵攻が激化し、一時的に王朝は滅亡。その後、ナレースワン王が独立を回復し、アユタヤは再興しました。

17世紀

オランダが通商許可を得て米の輸出に大きな影響力を持つ一方で、日本人の勢力が拡大しました。しかし、1630年には山田長政が失脚し、日本人町は焼き討ちにあい衰退。その後、イギリスやフランスとの関係を深めましたが、オランダとの対立も激化しました。ナーラーイ王はフランスとの友好関係を結びましたが、その結果、キリスト教勢力の台頭を招き、反発勢力がクーデターを起こしました。クーデターにより、フランス勢力は排除され、アユタヤは鎖国政策へと転換しました。

滅亡

1767年、コンバウン王朝の攻撃によってアユタヤは滅亡し、徹底的に破壊されました。再興を断念したタークシンはトンブリーに遷都しました。

思想

アユタヤ王朝では、スコータイ王朝の思想を受け継ぎ、仏教を保護する王が理想とされました。また、クメール文化の影響から、王は神の化身であるというヒンドゥー教的な思想も取り入れられ、王の権威を高めました。これらの思想は、言語や文学、宮廷の作法などにも影響を与え、独自の文化を形成しました。

社会

アユタヤ社会は、農村を基盤としていました。国王は社会の頂点に立ち、官吏は官位に応じて田園を割り当てられました。すべての自由人はナーイと呼ばれる支配者層に属し、労役を課せられました。仏教僧や外国人は税が免除されましたが、特に中国商人は大きな経済力を持ちました。法制面では、ラーマーティボーディ1世によって三印法典が整備され、社会の階層や身分を形作りました。ナレースワン王は、地方行政制度を改革し、国王への権力集中を進めました。

経済

アユタヤの経済は、米の生産と貿易によって成り立っていました。特に、タイ中央平原部で生産された余剰米は、中国に輸出され、莫大な利益をもたらしました。運河の建設も盛んに行われ、チャオプラヤー・デルタの基礎が整備されました。アユタヤは水稲栽培に適した地域であり、浮き稲の導入によって、安定した食料生産が可能となりました。

まとめ

アユタヤ王朝は、交易によって繁栄し、多様な文化が融合した華やかな文化を築きました。しかし、国内外の様々な要因によって滅亡し、その後のタイの歴史に大きな影響を与えました。

脚注

タイ君主一覧

外部リンク

Wikipedia - アユタヤ王朝

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