シャイニング (テレビドラマ)

スティーヴン・キングが描く、もう一つの『シャイニング』

『シャイニング』（The Shining）は、1997年に制作されたアメリカのテレビドラマです。スティーヴン・キングの同名小説を原作とし、過去にはスタンリー・キューブリック監督による映画版も制作されています。しかし、キング自身はキューブリック版に不満を抱いており、自身の理想とする映像化を目指し、自ら脚本を手がけました。

キングが不満を持っていたのは、ジャック・ニコルソン演じるジャック・トランスの人物造型や、物語の重要な要素である「シャイニング」の描写が希薄であった点です。キングは、自身の作品が単なる怨霊ホラーとして扱われることを避け、より原作に忠実で、深みのある人間ドラマを描くことを目指しました。

キューブリック版のドラマ化権を所有していたキューブリックは、キングが映画に対する批判を控えることを条件に、この再映像化を許可しました。そして1997年、ABCによってテレビドラマ版『シャイニング』が放映されました。

作品は高い評価を受け、プライムタイム・エミー賞のミニシリーズ部門作品賞にノミネートされるなど、そのクオリティは広く認められました。

あらすじ

教師を失い、アルコール依存症に苦しむジャック・トランスは、家族との絆を取り戻すため、コロラド州のオーバールックホテルで管理人として働くことを決意します。冬の間、閉鎖されるホテルで、彼は執筆活動に専念し、新たな人生をスタートさせようとします。

しかし、ホテルには邪悪な力が潜んでおり、ジャックの息子ダニーが持つ超能力「シャイニング」に目をつけます。ダニーは、ホテルにいる異様な存在や過去の惨劇の幻影を見るようになり、両親に危険を警告します。

過去にホテルに取り込まれ、家族を惨殺したデルバート・グレイディの霊は、ジャックに取り憑き、家族を殺害するよう唆します。次第に正気を失っていくジャックは、悪霊の操り人形と化し、家族に襲いかかります。

ダニーの危機を察知したコック長のディック・ハロランは、急いでホテルへ駆けつけますが、ジャックに襲われ瀕死の状態に陥ります。しかし、ダニーはハロランの助けを借り、ジャックにホテルのボイラーが放置されていることを伝えます。ジャックは再び悪霊に取り込まれぬよう、自分自身を犠牲にする代わりに、意図的にボイラーの圧力を下げずに爆発させ、オーバールックホテルを破壊します。

10年後、成長したダニーは高校を卒業します。その姿を見守るウェンディとハロラン。そして、ジャックの魂もまた、誇らしげにダニーを見つめているのでした。

キャスト

ジャック・トランス：スティーヴン・ウェバー (大塚明夫/井上倫宏)
ウェンディ・トランス：レベッカ・デモーネイ (日野由利加/山崎美貴)
ダニー・トランス：コートランド・ミード (大谷育江/菊池いづみ)
ディック・ハロラン：メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ (田中信夫/山野史人)
トニー：ウィル・ホーネフ (保志総一朗/佐藤淳)

スタッフ

監督：ミック・ギャリス
原作・脚本：スティーヴン・キング

製作の背景

このTVシリーズは、キングがキューブリック版『シャイニング』に満足できなかったことがきっかけで制作されました。キングは、より原作に忠実な形で、ジャック・トランスの人物像や、ホテルの持つ邪悪な力を描きたいと考えました。

ジャック・トランス役のキャスティングは難航しましたが、最終的にスティーヴン・ウェバーが選ばれました。ウェバーは、脚本の重層性を評価し、この役を引き受けました。

撮影

撮影は、コロラド州エステスパークにあるスタンレー・ホテルで行われました。このホテルは、キングが原作の着想を得た場所であり、物語の雰囲気を再現する上で重要な役割を果たしました。しかし、撮影期間中は雪が少なく、急遽スノーマシンが導入されるなど、苦労もあったようです。

キャストやスタッフの中には、撮影中に超常現象を体験したと主張する人もおり、ホテルに宿る邪悪な力が、作品にさらなる深みを与えているのかもしれません。

関連作品

ドクター・スリープ - 『シャイニング』の続編。

外部リンク

WarnerBros.com | Stephen King's The Shining (TV Miniseries) | TV (英語)
【ワーナー公式】映画（ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信） | スティーブン・キング シャイニング (日本語)
シャイニング - allcinema
シャイニング - KINENOTE
* The Shining - IMDb

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