シャイ・マエストロ

シャイ・マエストロ

イスラエルに生まれ、現在ニューヨークを主な活動拠点としているジャズ・ピアニスト兼作曲家、シャイ・マエストロは、1987年2月5日にこの世に生を受けました。彼は現代ジャズ界において、その繊細で詩的なピアノタッチと、洗練されたアンサンブルで注目を集めるアーティストの一人です。

彼の音楽の旅は、わずか5歳で始まったクラシック・ピアノの学習からスタートしました。その後、テルマ・イェリン高校で舞台芸術を専門的に学び、優秀な成績で卒業しています。ジャズの世界へ足を踏み入れるきっかけの一つとなったのは、イスラエル国内のジャズコンテスト「Jazz Signs」でした。彼はこのコンテストにおいて、2002年と2003年に連続して優勝し、早くからその才能を発揮しました。さらに、2004年から2010年までの期間には、アメリカ - イスラエル文化基金からジャズ・ピアノに関する奨学金を獲得し、音楽的な研鑽を深めました。アメリカのバークリー音楽大学が主催した5週間の夏季講習に参加した際、特待生として入学する資格を与えられましたが、彼はあえてその機会を辞退するという選択をしています。

学生時代を経て、シャイ・マエストロは著名なベーシストであるアヴィシャイ・コーエンから直接の誘いを受け、彼のバンドにメンバーとして加わります。チック・コリアとの活動でも知られるコーエンとの共演は、彼にとってプロのミュージシャンとしての重要なキャリアの始まりとなりました。このバンドで数年間にわたり活動し、いくつかの録音作品にも参加することで、実践的な経験と名声を積み重ねました。

アヴィシャイ・コーエンとの活動を通じて得た経験を基に、シャイ・マエストロは2010年、自身のリーダープロジェクトとして「シャイ・マエストロ・トリオ」を結成しました。このトリオを活動の中心とし、独自の音楽表現を追求し始めます。そして、結成から間もない2011年には、トリオ名義でのデビューアルバムとなる『Shai Maestro』を発表し、リーダーとしてのキャリアを本格的にスタートさせました。このデビュー作は、彼の瑞々しい感性と高度な技術を示す作品として注目を集めました。

デビュー以来、シャイ・マエストロはシャイ・マエストロ・トリオを中心に精力的な活動を続けています。これまでに複数のリーダーアルバムを発表し、その中には世界的なジャズレーベルであるECMからのリリースも含まれています。これらの作品を通じて、彼は叙情的で色彩豊かなハーモニー、ダイナミックな展開、そしてメンバーとの緊密なインタープレイを特徴とする独自の音楽世界を確立しました。世界中のジャズクラブやフェスティバルでの演奏活動も積極的に行っており、国際的な評価を着実に高めています。彼の音楽は、クラシックで培われた基礎と、ジャズ特有の即興性が見事に融合した、現代的ながらも普遍的な美しさを持っています。

ディスコグラフィ

シャイ・マエストロのリーダー・アルバムは以下の通りです。

『Shai Maestro』 (2012年, Laborie)
『ザ・ロード・トゥ・イサカ』 - The Road to Ithaca (2013年, Laborie)
『アントールド・ストーリーズ』 - Untold Stories (2015年, Motéma)
『ザ・ストーン・スキッパー』 - The Stone Skipper (2016年, Sound Surveyor Music)
『ザ・ドリーム・シーフ』 - The Dream Thief (2018年, ECM)
『ヒューマン』 - Human (2021年, ECM)

シャイ・マエストロは、その絶え間ない音楽への探求心と、個性あふれる表現力によって、今後のジャズシーンにおいても重要な存在としてその動向が注目されています。

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