シャジクモ

シャジクモ（車軸藻）について

シャジクモ（学名：Chara braunii）は、シャジクモ目に属する藻類の一種で、日本含む世界中に分布しています。主に水田やため池、湖沼といった淡水域に生育し、水深に応じて異なる遺伝的なグループが存在しています。個体の大きさは10〜40センチメートルで、主軸や小枝は皮層に包まれておらず、透明感が特徴的です。雌雄同株であることも大きな特徴の一つで、個体の下部に生殖器官が形成されます。

特徴

シャジクモの藻体は全体的に長さ10～40センチメートル、主軸の直径は0.3～1ミリメートルです。主軸およびその小枝には皮層が無く、光を透過しやすい透明な外観が観察されます。節部には托葉が伴い、小枝からは8〜11本の小枝が輪生して成長しています。小枝は3〜4節からなり、苞を伴っています。小枝の末端には複数の苞細胞が集まって冠状の形となるのもこの種の特徴です。雌雄同株で、個体内に生殖器官が存在し、造精器と生卵器の両方を持つため、繁殖においても効率的です。

分布と生態

この藻類は世界中に広く分布しており、南北アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、またハワイでも観察されています。日本国内でも北海道から沖縄まで幅広く見られる種ですが、水田などの浅場に生育する個体と、湖などで見られる深場に生育する個体では系統的な差異が確認されています。水田やため池では、他のシャジクモ類に比べて非常に一般的な存在ですが、環境の変化や水質の悪化により、その数は減少しています。

保全状況と人間との関わり

日本では近年、農業形態の変化や水質悪化が原因で、シャジクモの生育状況は厳しいものとなっています。環境省のレッドリストでは、絶滅危惧II類に指定されています。特に栃木県や福井県などでは絶滅危惧I類として取り扱われています。ヨーロッパでも同様に、いくつかの国ではレッドリストに掲載されているものの、増加傾向にある地域も存在します。

また、シャジクモは学校の理科の授業において原形質流動の観察に使われることが多く、生物学的な研究対象としても注目されています。2015年にはそのゲノム塩基配列も解明されており、進化学的な視点からも研究が進んでいます。アクアリウムにおいても栽培されることがあり、比較的栽培が簡単とされていますが、水質の急変には敏感です。

このように、シャジクモは水質や生息環境の変化に対する指標となる重要な藻類であり、今後の研究や保全活動が求められています。

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