シャッターコーン

シャッターコーン：巨大衝撃の痕跡

シャッターコーン (shatter cone) とは、隕石衝突や大規模な核爆発といった、極めて強力な衝撃によって生成される岩石の一種です。その名の通り、円錐状の形状をしており、頂点から放射状に無数の細かい溝が刻まれています。これらの溝は、衝撃波によって岩石内部に生じた破壊の痕跡であり、シャッターコーンを特徴づける重要な要素です。片仮名表記では「シャタコーン」と表記される場合もあります。

生成メカニズム

シャッターコーンは、岩石に2～30GPaという途方もない圧力が加わることで形成されると考えられています。これほどの圧力は、隕石衝突や核爆発といった、地球上では稀にしか起こらない現象によってしか発生しません。現在までに、シャッターコーンがこれら以外の現象によって生成された例は確認されていません。

隕石衝突の場合、巨大な隕石が地表に衝突する際に発生する衝撃波が、周囲の岩石にこの圧力を加えます。核爆発の場合も同様で、爆発によって生じる衝撃波が岩石に作用してシャッターコーンを形成します。

形状と大きさ

シャッターコーンは、ほぼ完全な円錐形をしています。その大きさは様々で、小さなものでは2.5cm程度のものから、大きなものでは数メートルに達するものまで確認されています。カナダのスレート諸島では、長さ10メートルを超える巨大なシャッターコーンの発見例もあります。

シャッターコーンの円錐軸は、一般的に衝突中心から放射状に外向きに伸びています。そのため、複数のシャッターコーンの軸の方向を分析することで、衝突や爆発の中心位置を推定することが可能です。これは、隕石衝突クレーターや核実験跡地の調査において重要な手がかりとなります。

その他の特徴

シャッターコーンは、その形成過程から、衝撃変成作用を受けた岩石であると推定されています。そのため、通常の岩石とは異なる鉱物学的、組織的な特徴を持つ場合があります。しかし、具体的な鉱物組成などは、生成に関わった岩石の種類や衝撃の強度などによって大きく変化するため、一概には言えません。

衝撃石英との関連

隕石衝突クレーターでは、シャッターコーンと並んで、衝撃石英も発見されることがよくあります。衝撃石英は、石英が強い衝撃圧力によって変成して生成される鉱物で、特有の縞模様（プラナーデフォーメーションフィーチャー：PDF）を持っています。シャッターコーンと衝撃石英はどちらも、巨大衝撃イベントの強力な証拠となるため、これらが同時に発見された場合、衝突イベントの規模や性質をより詳細に推定することが可能となります。

まとめ

シャッターコーンは、地球上で最も強力な自然現象、または人工的な現象の痕跡と言えるでしょう。その独特の形状と、衝突中心からの放射状配列は、巨大衝撃イベントの研究において重要な役割を果たしています。今後、さらなる研究によって、シャッターコーンの生成メカニズムや、その持つ情報量の解明が進むことが期待されます。

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