核爆発

核爆発とは

核爆発とは、核分裂連鎖反応または核融合反応を連続して短時間に起こすことにより発生する爆発現象です。そのエネルギーは非常に大きく、軍事兵器としての利用が主な目的ですが、過去には平和利用の研究も行われました。

歴史

人類初の核爆発は、1945年7月16日にアメリカ合衆国で行われたトリニティ実験です。この実験では、19ktの核出力が観測されました。その後、同年8月には広島と長崎に原子爆弾が投下され、第二次世界大戦を終結させる一因となりました。その後、ソビエト連邦、イギリス、フランス、中華人民共和国も核実験を実施しました。

初期の核爆発は核分裂反応を利用したものでしたが、1952年以降は核融合反応を利用した核兵器の実験も行われました。核融合兵器は、核分裂反応を起爆装置として利用します。核融合反応のみによる核爆発は存在しません。

1963年の部分的核実験禁止条約（PTBT）締結までは、大気圏内、宇宙空間、水中、地下で核爆発が行われていましたが、PTBT以降は地下のみで行われるようになりました。さらに、1999年には包括的[[核実験禁止条約]]（CTBT）が締結され、アメリカ合衆国では核爆発を伴わない臨界前核実験が行われるようになりました。

利用

核爆発の利用には、軍事目的と平和目的の二つがあります。

軍事目的

軍事目的としては、核兵器としての利用が主です。核兵器は、その破壊力によって敵を威嚇し、戦争を抑止する効果を持つと考えられています。しかし、実戦で使用されたのは第二次世界大戦中の2回のみです。

核兵器の効果は、爆風、熱線、放射線、電磁パルスなど多岐にわたります。これらの効果により、建造物や人員に甚大な被害をもたらします。

平和目的

平和目的としては、大規模な土木工事や採掘への応用が研究されました。新パナマ運河の建設や採掘などが考えられましたが、放射能汚染の問題を解決できなかったため、実用化には至りませんでした。また、核爆発の爆圧を推進力に利用する宇宙船「オリオン計画」も検討されましたが、これも実用化されていません。

場所

核爆発は、大気圏内、宇宙空間、水中、地下など、様々な場所で行われてきました。

PTBT締結以前は、大気圏内での核爆発が多く行われ、放射性降下物が広範囲に拡散しました。PTBT以降は、地下での核爆発が中心となり、放射性降下物は最小限に抑えられ、主に地震波で爆発を観測するようになりました。

効果

核爆発のエネルギーは、爆風、熱放射、電離放射線として放出されます。

爆風

爆風は、核爆発によって発生する衝撃波であり、周囲の構造物を破壊します。

熱放射

熱放射は、核爆発によって発生する高温の熱であり、周囲の物体を燃焼させます。火球の温度は数百万度に達します。

放射線

放射線は、核爆発によって発生する電離放射線であり、人体に有害です。被爆すると、急性放射線症や癌などの原因となります。

キノコ雲

大気圏内核爆発では、上昇気流によってキノコ雲が発生し、放射性降下物が広範囲に散布されます。高高度核爆発では、電磁パルスが広範囲に影響を与える可能性があります。

威力

核爆発の威力は、核出力によって表されます。核出力は、TNT火薬換算で示され、キロトン(kt)やメガトン(Mt)で表現されます。

トリニティ実験では19kt、広島に投下された原子爆弾は15kt、長崎に投下された原子爆弾は21ktと推定されています。ソ連が実施した最大の核実験「ツァーリ・ボンバ」では50Mtの核出力が記録されました。核兵器は、核出力が意図した威力を達成できない場合もあり、不完全核爆発と呼ばれます。

備考

2002年時点で、2400回以上の核爆発実験が行われました。アメリカが最も多く、1127回の実験を行っています。次いで、ソビエト連邦（969回）、イギリス（57回）、フランス（210回）、中国（44回）が続きます。インドとパキスタンもそれぞれ6回の核実験を行っています。

21世紀に入ってからは、北朝鮮が核実験を繰り返しています。

56グラムの核分裂性物質の連鎖反応によって放出されるエネルギーは、1キロトンのTNT火薬の爆発エネルギーに相当します。また、1メガトンのTNT火薬は、100万トンのTNT火薬の爆発エネルギーに相当します。

核爆発によって生成された放射性物質は、時間の経過とともに減衰します。爆発後、時間が7倍になると放射能は10分の1に減衰するという法則があります。例えば、爆発1日後に毎時3000ミリシーベルトだった放射線は、7日後には300ミリシーベルトになります。ただし、この法則は6ヶ月を超えると推定の誤差が大きくなり、1年後には3ミリシーベルトとなります。

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