シャドラク

シャドラク、またはハナンヤは、旧約聖書『ダニエル書』に登場する重要な人物です。彼のユダヤ名であるハナンヤは、「主は恵み深い」という意味を持ち、バビロンの宮廷ではシャドラクという名で知られるようになりました。ハナンヤはヘブライ語でחֲנַנְיָהと表記され、英語ではHananiahと綴られます。一方、シャドラクは英語でShadrachと表記されます。

人物・経歴

シャドラクの物語は、紀元前6世紀のバビロン捕囚時代にさかのぼります。エルサレムを陥落させたバビロンの王ネブカドネツァルは、占領地の行政官を養成するため、ユダヤ人の中から選りすぐりの若者たちを集めました。彼らは「王族と貴族の中から、体に難点がなく、容姿が美しく、何事にも才能と知恵があり、知識と理解力にとみ、宮廷に仕える能力のある」者たちが選ばれました。

ハナンヤ、すなわちシャドラクもその一人であり、彼はダニエル（ベルテシャツァル）をリーダーとする四人組の一員でした。彼らは異邦の地においても、唯一の神への信仰を固く守り続けました。彼らは「異邦人の肉類と酒で自分を汚すまい」と誓い、神への忠誠を誓いました。その結果、四人は他の者たちよりも優れた才能を示し、王に重用されることになりました。

ダニエルが王の見た夢の謎を解き明かしたことで、シャドラクはバビロン州の行政官に任命されました。しかし、彼らの信仰は、ネブカドネツァル王が金の像を建て、それを拝むように命じたときに試されることになりました。シャドラクは、メシャク（ミシャエル）、アベド・ネゴ（アザルヤ）と共に、唯一の神を信じていたため、偶像崇拝を拒否しました。そのため、三人は燃え盛る炉の中に生きたまま投げ込まれることになりました。

しかし、驚くべきことに、三人は焼け死ぬことなく、火の中を自由に歩き回りました。火の中に神の使いが現れ、彼らを保護したのです。ネブカドネツァル王がその様子を見て驚き、彼らを火の中から呼び出すと、三人は髪の毛一本燃えることなく、無傷で出てきました。この奇跡を目撃した王は、彼らの信じる神の偉大さを認め、三人を元の地位に戻しました。この出来事は、信仰の力と神の保護を象徴するものとして、今日まで語り継がれています。

関連項目

聖書の登場人物の一覧
メシャク
アベド・ネゴ
シャドラク、メシャク、アベド・ネゴ（英語版Wikipedia）

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