シャルル・ド・ゴントー

シャルル・ド・ゴントー＝ビロンの生涯とその影響

シャルル・ド・ゴントー＝ビロン（Charles de Gontaut-Biron）は、1562年にフランスのサン＝ブランシャールで生まれた。彼の父、アルマン・ド・ゴントー＝ビロンは元帥であり、ビロン家はペリゴール地方の名門であった。ビロンは母方の影響でプロテスタントの教育を受けつつも、父のカトリックの信仰を受け継いだ。彼は特に叔母であるブリザンブール夫人からの影響を強く受け、戦乱の時代にあって誠実さと勇気をもって国に仕える姿勢を育まれた。

ビロンは、父の指導の下で軍人生涯をスタートし、1577年には初陣を果たす。彼の忠誠心と勇猛さはすぐに注目され、アンリ4世から厚い信任を受けるようになる。ビロンは1590年、旅団長に昇進し、以後様々な戦闘で戦績をあげ続けた。特にアルクの戦い、イヴリーの戦い、パリ攻囲戦、ルーアン攻囲戦、オマールの戦いなどでは、その手腕を遺憾なく発揮し、国王から次々と高い地位が任命された。1592年にはフランスおよびブルターニュの提督、1594年にはフランス元帥、1598年には公爵の称号を授与される。

国王アンリ4世は、ビロンを信頼してイングランドの女王エリザベス1世への大使として派遣するなど、彼の存在を重視していた。しかし、ビロンは次第に野心を抱くようになり、サヴォイア公国やスペインと結び、国王に対する陰謀を企て始める。ビロンはサヴォイア公から娘を娶る提案を受け、叛乱を通じてブルゴーニュとフランシュ＝コンテを支配しようと計画していた。

その陰謀は、だんだんと広まり、調査を行っていたラファンによって暴露される。ビロンは初めこれを否認しようとしたが、彼が残した証拠がその計画の真実性を裏付けてしまった。アンリ4世はリヨンで彼を一度は許したものの、ビロンに関する新たな罪の証拠が次々に出てくる状況は、国王にとっても決断を難しくさせた。最終的には、1602年6月、フォンテーヌブローでビロンは捕らえられ、パリへ護送されることになる。

公は大逆罪の審理を受け、最終的に死刑判決が下され、1602年7月31日、バスチーユで斬首された。これが彼の波乱に満ちた生涯の終焉であった。

ビロンの裏切りや彼の裁判は、イギリスの劇作家ジョージ・チャップマンによって「ビロン公シャルルの陰謀と悲劇」という作品として上演され、彼の物語は文学としても発展した。シャルル・ド・ゴントー＝ビロンは、彼の死後もなお、フランスの歴史における重要な軍人の一人として語り継がれている。

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