軍人

軍人とは

軍人はその国家の正式な軍事機関に所属し、政府から認められた階級と軍事訓練を受けた者を指します。国際法においては、彼らは敵勢力に対する交戦権を持つことが認められています。そして、敵勢力に投降した際には、捕虜として基本的人権が保護されることになります。一般的には、軍人は文民（シビリアン）や民間人とは対照的な存在として考えられています。

軍人の所属する籍は「兵籍」や「軍籍」と呼ばれ、その活動履歴は「軍歴」として記録されます。また、軍人の中でも職業としての地位を持つ者は「武官」として区別され、徴兵によって入隊した者はこれには含まれません。日本においては、自衛隊は「陸海空軍その他の戦力を保持しない」と定める憲法第九条に従いつつ、国際法上では軍隊として認識され、同じく軍人に分類されます。

歴史

西洋における軍人の歴史

近代以前の西洋において、軍人という言葉は広い意味で戦闘を行う者を指していました。封建制度のもとでは、兵士と一般市民、士官と貴族・官僚の間に大きな区別は存在しませんでした。その後、絶対王政が成立し、国家権力が中央に集中するにつれて、軍事に特化した貴族などの軍事貴族が現れ、王の軍隊が形成されました。

国民国家の成立や市民革命によって、軍隊の形態は国民軍へと変わり、近代的軍人が成立しました。ナポレオンが率いた大陸軍や、プロイセン陸軍を改革したシャルンホルストがその典型です。ただし、今でも名目上「王の軍隊」としての性格が強い軍隊も存在し、英軍は「国王陛下の軍隊」として知られています。

日本における軍人の歴史

日本では明治維新以降に、現代の自衛官に繋がる形で近代的な軍人が成立しました。初期の陸海軍の高級軍人は旧武士層出身者が多く、例えば陸軍の山県有朋や海軍の東郷平八郎がその例です。そして、幕府時代の陸軍と海軍も近代軍と見なされています。

軍人の分類

軍人はさまざまな観点から分類されます。

軍種による分類

• - 陸軍軍人 (soldier)
• - 海軍軍人 (sailor)
• - 空軍軍人 (airman)
• - 海兵隊員 (marine)
• - 国家憲兵隊員 (gendarmerie)
• - 沿岸警備隊員 (coast guard)

なお、沿岸警備隊員は国によって軍人扱いされる場合があります。

役種による分類

• - 現役 (active duty)
• - 予備役 (reserve)
• - 退役 (veteran)

階級による分類

• - 士官/将校 (commissioned officer)
• - 将官 (general officer)
• - 将軍 (general)
• - 提督 (admiral)
• - 佐官 (senior officer)
• - 尉官 (junior officer)
• - 准士官 (warrant officer)
• - 下士官 (non-commissioned officer)
• - 兵 (enlisted)

軍人の責任

軍人には緊急時には負傷や死亡の危険を伴いながらも職務を全うする責任が求められます。彼らは緊急事態に際し、命を賭ける覚悟を持って職務に取り組む必要があります。また、行動は交戦規定に従わなければならず、平常時でも緊急時に迅速に対応できるよう居住地域が制限されたり、品位の維持が求められます。

軍人制度と教育訓練

軍人は徴兵制もしくは志願制によって採用されます。特に徴兵制は、国民に一定期間軍隊に参加することを義務付けることですが、その内容は国によって異なります。一方、志願制はより安定した職業として捉えられ、多くの若者にとってキャリアの出発点となっています。教育訓練では各階級ごとに必要な技術や戦術を学び、特に士官は戦術学や戦史など、幅広い知識が求められます。

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