シャルル・ヴァン・デル・スタッペン

シャルル・ヴァン・デル・スタッペン

シャルル・ヴァン・デル・スタッペン（Pierre Charles Van der Stappen、1843年12月19日 - 1910年10月21日）は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてベルギーで活躍した彫刻家、そして優れた美術教育者です。特に、ブリュッセル王立美術アカデミーで彫刻科の教授を務め、多くの後進を指導したことで知られています。

ブリュッセル首都圏地域内のサン＝ジョス＝タン＝ノードに生を受けたヴァン・デル・スタッペンは、1859年から1868年にかけて地元のブリュッセル王立美術アカデミーで彫刻の基礎を学びました。アカデミーでの学習を終えた後、芸術の中心地パリで一時的に活動し、さらにイタリア各地を巡る研鑽の旅に出ました。このイタリアでの経験は、古典彫刻に触れることで彼の芸術観を深める上で重要な意味を持ったと考えられます。

彼のキャリアにおける重要な仕事の一つに、ブリュッセルの植物園の彫刻制作があります。1893年から、同時代の著名な彫刻家であるコンスタンタン・ムーニエ（1831-1905）とともにこのプロジェクトに着手し、1894年から1898年にかけて多くの彫像を生み出しました。これらの作品は、公共空間における彫刻の役割を示す好例となりました。また、国際的な評価も得ており、1898年には大ベルリン美術展でメダルを授与されています。

さらに、ベルギー建国75周年を記念して1905年に完成したブリュッセルのサンカントネール公園に立つ凱旋門の装飾彫刻にも携わりました。この壮大な建築プロジェクトには、トマ・ヴァンソット（1850-1925）やジェフ・ランボー（1852–1908）といった当時の著名な彫刻家たちも参加しており、ヴァン・デル・スタッペンはリエージュとアントウェルペンの二都市を象徴する寓意的な装飾彫刻を担当しました。これらの公共空間を飾る記念碑的な作品は、当時のベルギーにおける彫刻芸術の到達点を示すものと言えます。

ヴァン・デル・スタッペンは、自身の制作活動と並行して、母校であるブリュッセル王立美術アカデミーで熱心に教鞭を執りました。やがて校長職も務めるようになり、その教育者としての手腕は高く評価されています。彼の門下からは、イルズ・トヴァルドフスキ＝コンラート、リック・ウォータース、シャルル・サミュエル（1862-1938）、エレーヌ・ショルツ＝ゼレズニー（1882-1974）など、後に自身の名を確立する多くの芸術家や彫刻家が輩出されました。これは、彼が単に優れた制作者であっただけでなく、次世代の芸術家を育成する上でも多大な貢献をしたことを示しています。

シャルル・ヴァン・デル・スタッペンの功績は、ブリュッセルの公共空間を彩る大規模な装飾彫刻にその足跡を残すと同時に、ベルギーの近代彫刻史において重要な位置を占める多くの芸術家を育てたことによって、今日まで語り継がれています。彼の作品と思想は、残された作品や、彼に関する研究書・論文などを通じて知ることができます。

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