シャルル＝ジョゼフ・ナトワール

シャルル＝ジョゼフ・ナトワール（Charles-Joseph Natoire, 1700年3月3日 - 1777年8月23日）は、フランスのロココ期を代表する画家の一人です。南フランスのニームで生まれ、画家としての才能を開花させました。

彼の画業は、まずフランソワ・ルモワーヌに師事したことから始まり、1721年にはローマ賞を受賞するという栄誉に輝きます。その後、1723年からローマ賞の特典である奨学金を得て、在ローマ・フランス・アカデミーに留学し、古典美術の研鑽を積みました。この留学経験は、彼の芸術観に大きな影響を与えたと考えられています。

1729年にパリに戻ると、ナトワールはロココ美術の旗手として活躍していたフランソワ・ブーシェと親交を深め、互いに刺激し合いながら、ロココ美術の発展に貢献しました。1734年には、ベルサイユ宮殿の王妃の寝室を飾るための装飾画の依頼を受け、「アエネアスのためにウェヌスがウゥルカーヌスに武器を要求する」を制作。この作品は彼の代表作の一つとして知られています。

ナトワールは、1751年から1775年の長きにわたり、在ローマ・フランス・アカデミーの校長を務め、後進の育成にも力を注ぎました。彼の指導を受けた多くの画家が、その後のフランス美術界で活躍しました。

ナトワールは、主に装飾画家として知られていますが、その画風は、宗教的な題材や古代神話を題材としたもの、そして肖像画など、多岐にわたります。優美で繊細な筆致と、華やかな色彩感覚が特徴で、ロココ美術の優雅な雰囲気を色濃く反映しています。


妹のジャンヌ・ナトワールも画家であり、シャルル＝ジョゼフと共に活動し、パステル画家として知られています。兄妹で才能を開花させたことも特筆すべき点です。

代表作としては、ベルサイユ宮殿の装飾画のほか、「羊飼いたちの間のプシュケ」（1737-1739年、パリ、国立公文書館蔵）などが挙げられます。

シャルル＝ジョゼフ・ナトワールは、ロココ美術の黄金時代を築いた重要な画家の一人であり、その作品は今日でも多くの人々を魅了しています。

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