シャルル＝ルイ・レリティエ・ドゥ・ブリュテル

シャルル＝ルイ・レリティエ・ドゥ・ブリュテル (1746年6月15日-1800年8月18日) は、フランスの役人であり、並外れた情熱を植物学に注いだアマチュア植物学者でした。パリの裕福な上流家庭に生まれ、恵まれた環境の中で育ちました。26歳という若さでパリ森林河川局の監督官に就任。この職務を通して、多様な樹木や植物に囲まれた日々を送る中で、植物への関心を深めていきました。

彼の植物学への探究心は、単なる趣味の域を超えていました。持ち前の鋭い観察眼と探究心で、植物の分類や研究に没頭。その卓越した才能は、やがて専門家からの注目を集めるようになります。1790年には、王立科学アカデミーの植物学部門に加わり、本格的な研究活動を開始しました。

アマチュア植物学者としてのレリティエの活動は非常に実り多いものでした。1784年から1785年にかけては、“Stirpes novae aut minus cognitae, quas descriptionibus et iconibus illustravit Carolus Ludovicus L'Héritier”という2巻本の植物図鑑を出版しました。この作品は、希少な植物を精緻な図版とともに紹介するもので、当時としては画期的なものでした。この図鑑の図版制作を担当したのが、後に名高い植物画家として知られるようになるピエール＝ジョゼフ・ルドゥーテです。レリティエとの協力関係は、ルドゥーテの才能開花に大きく貢献しました。

特にレリティエはフウロソウの仲間（ゼラニウム属）に深い関心を抱いており、その研究成果をまとめた“Geranologia”を1792年に出版しています。この著作は、フウロソウの分類や形態に関する貴重な知見を提供し、後の植物学研究に大きな影響を与えました。

レリティエは、生涯を通して植物の収集に情熱を注ぎ、膨大な数の植物標本を収集しました。没後には、約8,000種にも及ぶ植物標本と、植物学に関する広範な蔵書が残されました。これらのコレクションは、後の植物学研究者にとって貴重な資料として活用され、レリティエの貢献の大きさを改めて示しています。

レリティエの植物学への貢献は、カール・ルートヴィヒ・ヴィルデノウやオーギュスタン・ピラミュス・ドゥ・カンドールといった後世の著名な植物学者たちによって高く評価されました。彼らがレリティエの業績を踏まえることで、植物学は更なる発展を遂げました。彼が残した標本や図鑑は、現在でも研究に利用され、18世紀の植物学史において重要な役割を果たした人物として、その名はいまだに語り継がれています。

主な著書には、以下があります。

Stirpes novae aut minus cognitae, quas descriptionibus et iconibus illustravit; Paris 1785–1805.
Sertum anglicum. 1789–1792.
*Geraniologia, seu Erodii, Pelargonii, Geranii, Monsoniæ et Grieli;Paris 1792

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