シャロン・アニオス

シャロン・リア・アン・アニオス（Sharon Lea Anne Anyos）は、1970年 10月13日にオーストラリアのビクトリア州ジーロングで生まれた、かつて女子キックボクシングおよびプロボクシングの世界で活躍した著名な女性アスリートです。彼女はプロボクサーとして特に輝かしい足跡を残し、主要な女子ボクシング団体において複数の世界タイトルを獲得しました。

プロキャリアの幕開けと王座獲得

アニオスのプロボクシングでの歩みは、1998年7月4日に始まりました。記念すべきデビュー戦で対戦相手をストップに追い込み、TKO勝利を飾るという鮮烈な形でキャリアをスタートさせます。

キャリア初期の大きな転機は、1999年10月31日に訪れます。この日、彼女はジェーン・カウチと対戦し、WBFおよびWIBFの女子ライト級王座をかけて争いました。しかし、このタイトルマッチは判定の結果、アニオスにとってプロボクシングキャリアにおける初めての敗北となりました。

この経験を糧に、アニオスは階級をフェザー級に下げて再起を図ります。そして、2000年10月14日、ジョー・ワイマンとの一戦に臨み、ここでの勝利によってWIBA（女子国際ボクシング協会）フェザー級世界王座を獲得しました。これは彼女にとってプロボクシングにおける初の世界王座獲得であり、その実力を世界に知らしめる契機となりました。

日本での激闘：ライカ戦

WIBAフェザー級王者となったアニオスにとって、特に日本のファンに強い印象を残したのが、日本の女子ボクシング界を牽引する存在であったライカ選手との二度にわたる対戦です。

最初の対戦は、2002年12月18日に日本の東京で行われた、アニオスのWIBA王座初防衛戦でした。この試合でアニオスは、ライカ選手を何度もKO寸前の状態に追い込むなど、試合の主導権を握る場面が多く見られました。しかし、最終的に試合は判定にもつれ込みます。この試合のジャッジは全員が日本人であった中、判定は1-2というスプリットデシジョンとなり、多くの関係者やファンの間で議論を呼ぶ形で、アニオスは王座を失いました。

この結果を受け、2003年11月30日には再び東京でライカ選手との再戦が組まれます。雪辱を期すアニオスでしたが、この試合でも不可解な展開に見舞われます。偶然のバッティングと見られる状況から、警告なしにアニオスだけがいきなりの減点を受けるという事態が発生しました。試合は再び判定となり、結果は0-2でアニオスの敗戦となりました。もし減点がなければ1-1のドローとなっていた可能性が指摘されており、この試合もまた、レフェリーやジャッジ構成（全員日本人）を含め、様々な議論を呼ぶこととなりました。

再び世界の頂へ、そして引退

ライカ選手との連敗後も、アニオスはキャリアを諦めませんでした。2004年10月1日には、リンダ・テンバーグとWBF（世界ボクシング連盟）女子フェザー級王座を争い、勝利して同王座を獲得します。このWBF王座を二度防衛した後、彼女はボクシング界に新たに設立された主要団体であるWBC（世界ボクシング評議会）の初代女子世界フェザー級王座決定戦に臨みます。

2005年10月22日、アルゼンチンの強豪マルセラ・アクーニャとの間で争われたこの記念すべき一戦を判定で制し、アニオスはWBC女子世界フェザー級の初代王者という歴史に名を刻むこととなりました。その後、2006年9月22日にはエスター・スカウテンを相手にWBC王座の初防衛戦を行い、これをTKOで勝利しています。

輝かしいキャリアの後は、二児の母となり、現在は事実上、競技生活からは引退した状態にあるとされています。複数団体の世界王座を獲得し、特に日本のファンにも記憶される激闘を繰り広げたシャロン・アニオスは、女子ボクシング界の発展に貢献したパイオニアの一人としてその名が刻まれています。

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