シャンシャン (ジャイアントパンダ)

シャンシャン（香香）

シャンシャン（XiangXiang）は、2017年6月12日に東京都恩賜上野動物園で生まれたメスのジャイアントパンダです。父親はリーリー、母親はシンシンで、2021年には弟と妹にあたるシャオシャオとレイレイも誕生しています。上野動物園では29年ぶりの自然交配による誕生で、大きな話題となりました。

誕生から中国返還まで

シャンシャンは、出生時、体長14.3センチ、体重147グラムという小さな体で誕生しました。生後間もなくメスと判明し、一般公募により「シャンシャン」と名付けられました。名前には、花開くような明るいイメージが込められています。生後約半年で母親のシンシンとともに一般公開されると、その愛らしい姿は瞬く間に日本中の人気を集めました。公開当初は抽選制でしたが、連日多くの応募があり、週末には144倍という高倍率に達しました。

シャンシャンは、その人気からアイドル的存在となり、誕生日には4時間以上の待ち時間が出るほどの人気ぶりでした。しかし、所有権は中国にあり、当初は生後満24ヶ月で返還される予定でした。しかし、日本での人気と新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、返還は5回も延期されました。そして2023年2月21日、ついに中国へと旅立つことになりました。

上野動物園での最後の観覧日には、多くのファンが別れを惜しみ、最後の時間枠は70倍という高倍率になりました。シャンシャンが上野動物園にいた5年間の経済効果は600億円以上とも言われ、その影響力の大きさを物語っています。

中華人民共和国への返還、その後

シャンシャンの所有権は中国にあり、返還後は四川省の雅安ジャイアントパンダ研究センター碧峰峡基地に移されました。中国外務省の報道官は、シャンシャンを「日中友好交流を促進してくれたかわいい使者」と評しました。

中国に到着後の様子は、中国のSNSやYoutubeで公開され、シャンシャンが元気に竹を食べる姿を見ることができました。その後、約8ヶ月のリハビリ期間を経て、2023年10月8日に一般公開されました。

公開にあたっては、シャンシャンの繊細な性格を考慮し、観覧者との間にガラス板が設けられました。また、上野動物園の環境に似た場所で、静かに公開が開始されました。しかし、中国のファンだけでなく、日本からもシャンシャンファンが駆けつけ、その様子は動画サイトで生中継されました。

中国デビュー

中国での飼育員によると、シャンシャンはグルメで、餌となる竹や笹にこだわりがあるようです。特に、りんご、タケノコ、パンダケーキが好きで、タケノコは目の前にあるだけ食べるほどの好物だそうです。また、ジャイアントパンダの主食である竹や笹は、なぜか夜にしか食べないそうです。夜は洞窟のような場所で休み、空腹になるとそこで竹を食べるそうです。日中は、給餌時間以外は、敷地内の山を散歩したり昼寝をしたりしているようです。

性格・特徴

シャンシャンは、お転婆で物怖じせず、好奇心旺盛な性格です。高い所が好きで、よく櫓の上や木の上にいます。一方で、環境が変わると食欲がなくなるなど繊細な一面も持ち合わせています。物怖じしない性格は母シンシンから、繊細な部分や木登りが好きなところは父リーリーから受け継いだようです。

シャンシャンは、その整った顔立ちから「美人さん」と評されることもあります。一方で、ニンジンが嫌いで、飼育員が工夫を凝らしても基本的には食べません。しかし、ごく稀にすりおろしたニンジンを食べることもあるようです。食べたくないときは、ニンジンを踏みつけたり、お尻で潰したりして、自分の視界から消すこともあるようです。過去には、半分にカットされたニンジンを渡された際、パニックになったこともあります。中国に返還後、トレーニングによりニンジンを食べるようになったと伝えられましたが、中国で一般公開後に飼育員が給餌していないと答えたため、ニンジン嫌いは健在のようです。

幼い頃の特技は、木の上でぶら下がって眠ること、屋内放飼場の寝台をくぐること、屋外放飼場の水飲み場のゴム栓を抜くことでした。寝台をくぐることは、大人になった今でも健在です。また、おやつが入っている給餌玩具の竹筒を振る際、首も一緒に振ってしまう癖があります。その気分屋な一面から、「カリスマパンダ」と紹介されることもあります。2023年1月31日には発情期を迎えました。中国では、「香香公主（シャンシャン姫）」「小香（シャンちゃん）」と呼ばれています。

上野動物園時代から、採食中に短時間動きが止まってしまう癖がありますが、これは父リーリーから遺伝したと考えられています。

その他

シャンシャンの人気は、日本国内にとどまらず、様々な形で人々に影響を与えています。例えば、北海道室蘭市には「シャンシャン共和国」というミニ独立国があり、シャンシャンを名誉国民に認定しました。また、シャンシャンを通じて知り合った人を「シャン友」、パンダを通じて知り合った人を「パン友」と呼ぶこともあります。さらに、韓国のエバーランドで生まれたジャイアントパンダ「福宝」が、保育器の中で一緒にいたぬいぐるみは、シャンシャンをモデルにしたものでした。このぬいぐるみは、福宝が生まれる前に、エバーランドの飼育員が上野動物園へ研修に行った際に、上野動物園のスタッフからプレゼントされたものです。

このように、シャンシャンは、多くの人々に愛され、様々な形で人々の生活に彩りを加えてきました。今後も、中国での生活が充実したものになることを願うばかりです。

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