シャンパン・グラス

シャンパンを飲むために特別に作られたグラス、それがシャンパングラスです。代表的な形状として、フルートとクープの2種類があり、どちらも脚付きであるため、手の温度がシャンパンに伝わりにくく、最適な温度で楽しむことができます。この特性から、シャンパンだけでなく、スパークリングワインや特定のビールにも適しています。

フルートグラス

フルートグラスは、細長い円錐形または縦長のボウル状の形状を持つグラスです。容量は通常180～300ml。1700年代初頭、酒器の素材が金属や陶器からガラスへと移行する中で、スパークリングワインに最適な形状として開発されました。初期は細身の円錐形が主流でしたが、20世紀には、側壁が垂直で口元がわずかに内側にカーブしたものが好まれるようになりました。

フルートグラスの角度のきつい内壁は、シャンパンの炭酸を逃がさないように表面積を減らす役割を果たします。グラスとの接触面で炭酸の核形成を促進し、きめ細かい泡立ちを促します。接触面積が大きすぎると炭酸が急速に抜けてしまうため、グラスの形状は非常に重要です。また、深さのあるフルートグラスは、泡が液面まで立ち上る様子を美しく見せる視覚的な効果もあります。フルートグラスの細さは、ワインと酸素の接触面積を減らし、香りと味わいをより長く保つ効果も期待できます。

スパークリングワインのほか、フルーツビールやベルギーのランビック、グーズなどのビールにも使用されます。フルートグラスを使用することで、ビールの色合いや香りを最大限に楽しむことができます。ピルスナーグラスとの大きな違いは、脚が付いている点です。

クープグラス

クープは、浅く広口の椀型をした脚付きグラスで、容量は通常120～240mlです。ルイ15世の愛妾、ポンパドゥール夫人の乳房を模して作られたという説がありますが、実際にはそれよりも1世紀前の1663年に、イングランドでスパークリングワインやシャンパンのために作られました。18世紀にフランスに持ち込まれてから1970年代までフランスで人気を博し、アメリカでは1930年代から1980年代にかけて流行しました。

チューリップグラス

シャンパンは、チューリップ型のグラスで供されることもあります。白ワイン用のグラスに近い形状で、フルートグラスよりも胴と飲み口が広くなっています。伝統的なフルートグラスに比べて香りを感じやすく、炭酸がすぐに抜けてしまうのを防ぐ程度の口の細さを持つため、ワイン専門家の中にはチューリップグラスを好む人もいます。

ワシントン・ポストのコラムニスト、デイブ・マッキンタイアは、「チューリップ型グラスは、シャンパンが舌に当たる位置を舌の先端ではなく中央にするため、ワインの風味をより際立たせる」と述べています。ワイングラスメーカーのリーデルは、フルートグラスではワインの香りと味わいを十分に理解できないとして、フルートグラスを批判しています。

二重構造グラス

1960年代には、手の熱がシャンパンなどの飲み物に伝わりにくくするために、二重構造のグラスが開発されました。内壁と外壁の間に空気の層を作ることで、断熱効果を高めています。

もう一度検索