シャンプー (映画)

映画『シャンプー』：華麗なるハリウッドの影と破滅への道

1975年、アメリカで公開された映画『シャンプー』。監督は『ハロー・ドーリー!』でも知られるハル・アシュビー。華やかなハリウッドの裏側を舞台に、魅力的な美容師ジョージの破滅を描いた作品です。

主人公ジョージは、自分の店を持ちたいと夢見る、モテモテの美容師。しかし、その成功の裏には、多くの女性たちとの複雑な関係が隠されています。裕福なマダムから若い女性、政治家の愛人まで、ジョージの周囲には女性が絶えません。

しかし、ジョージの口癖は「女なんて厄介だ」。彼は女性を軽視し、自己中心的で浅はかな関係を築いていきます。女性たちとの関係は、いずれもジョージ自身の欲望の充足に過ぎず、真の愛情や理解は欠けています。映画では、彼の女性遍歴がユーモラスでありながらも、どこか悲しげに描かれています。

そんなジョージを演じるのは、当時ジュリー・クリスティと交際していたウォーレン・ベイティ。ヒロインのジャッキー役を演じたクリスティとの共演は、まさにスクリーンと現実が交錯するかのようです。

さらに本作には、後に『スター・ウォーズ』シリーズでレイア姫役として世界的な人気を博することになるキャリー・フィッシャーが、映画デビューを飾っています。本作における彼女の出演は、彼女の今後の活躍を予感させる、重要なキャリアの出発点となりました。

映画は、ジョージの成功と破滅を鮮やかに対比させます。最初は順風満帆だったジョージの人生ですが、次第に女性関係や仕事にトラブルを抱え始め、最終的には夢も女性も失い、孤独な境地に立たされます。

脇を固めるのは、ゴールディ・ホーン、ジャック・ウォーデンといった実力派俳優たち。そして、フェリシア夫人役で出演したリー・グラントは、この作品でアカデミー助演女優賞を受賞しました。彼女の圧倒的な存在感は、映画全体に重厚感を与えています。

『シャンプー』は、華やかなハリウッドの裏側と、成功と破滅の両面を描き出した、忘れがたい作品です。ジョージの辿る破滅の過程は、現代社会においても共感できる部分が多く、現代の観客にも多くの示唆を与えてくれるでしょう。

この映画は、単なるラブコメディではなく、女性蔑視や人間関係の脆さといった、普遍的なテーマを描いています。ジョージの破滅を通して、私たち自身の生き方や人間関係について、改めて考える機会を与えてくれる、そんな作品と言えるでしょう。豪華なキャスト陣と、巧みな演出が見事に融合した『シャンプー』は、現代においても観る価値のある、一級の映画です。

また、本作は、1987年5月8日にTBS『金曜ロードショー』で放映された際に、豪華な日本語吹替版が制作されています。鈴木弘子、津嘉山正種、潘恵子、富田耕生など、ベテラン声優陣の吹き替えも、作品の魅力を高めています。

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