シュアイジャオ

シュアイジャオ（摔跤）について

シュアイジャオ（摔跤、shuāijiǎo）は、中国の漢族による伝統的な武術および格闘技です。この競技は互いに組み合って投技を行い、勝敗を決するスタイルを特徴としています。しかし現在、中国国内で「摔跤」と言うと、一般的にはレスリングを指すことが多く、漢族の伝統的な格闘技は「中国式摔跤」として明確に区別されます。本稿では、シュアイジャオの伝統的な面に焦点を当てて解説します。

概要と歴史

シュアイジャオは、その長い歴史からも、中国で最も古い格闘技の一つと見なされています。1世紀に編纂された『漢書』には「手縛」という表記があり、その後の時代に伴い、様々な名称（角抵、角抵戯、相撲等）で表現が変遷しました。960年には、調露子が著した『角力記』がシュアイジャオに関する最初の体系的な書物とされています。

この武道は、中国の歴史の流れの中で様々な民族、特にモンゴル族や満洲族の格闘技の影響を受けながら発展してきました。シュアイジャオにはいくつかの地域的流派が存在し、特に北京の北平シュアイジャオ、河北省保定の保定シュアイジャオ、天津周辺の天津シュアイジャオが有名です。

近代においては、1953年の中華人民共和国少数民族運動会で公式種目として採用され、その後1956年と1957年には中国スポーツ委員会によって試合ルールが定められ、階級制も導入されました。これにより、シュアイジャオは競技スポーツとして新たなスタートを切りました。現在では、全国体育大会や農民運動会でも公式種目として認知されています。

競技のルール

現代のルールでは、シュアイジャオは体重によって10の階級に分けられています。試合は、1ラウンド3分、インターバル1分を挟んで3ラウンドを行う形式です。試合は8m四方のマットで実施され、選手は着衣と靴を着用して競技に臨みます。

シュアイジャオと相撲の関係

シュアイジャオと日本の相撲との関連性は指摘されており、両者の表記には共通点があります。しかし、歴史的には多くの違いも存在します。例えば、日本の相撲は江戸時代に独自の発展を遂げ、特別な土俵で取り組むことが確立されましたが、シュアイジャオは伝統的に屋外で行われ、清朝の乾隆年間まで土俵に相当するものは存在しませんでした。さらに、シュアイジャオが着衣で行う格闘技であるのに対し、日本の相撲は裸体での取組みを基本としています。

また、シュアイジャオでは組技が重視されますが、対戦相手の攻撃を捉えて投げる技も豊富で、凌霄（りょうしょう）や突き蹴りを多く用います。このようにシュアイジャオは、相撲とも異なる要素を持ちつつ、格闘技としての独自性を持ち続けています。

結論

シュアイジャオはその歴史、技術、文化的背景において、中国の伝統武術の中で特異な位置を占めています。今後もその魅力と実用性が引き継がれていくことが期待されます。

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