シュテッティン条約 (1630年)

シュテッティン条約：三十年戦争におけるスウェーデンの足跡

シュテッティン条約は、1630年8月25日（ユリウス暦）/9月4日（グレゴリオ暦）に締結された、三十年戦争における重要な条約です。この条約は、スウェーデン帝国がポメラニア公国を軍事的に占領する法的根拠となり、スウェーデンがドイツ中部・南部での戦役を展開する足掛かりとなりました。

条約の背景

1627年、ポメラニア公国は神聖ローマ皇帝フェルディナント2世の軍勢に占領され、苦境に立たされていました。そのような中、スウェーデンはシュトラールズントへの軍事支援をきっかけに三十年戦争に介入。シュトラールズントは、1628年の包囲戦で帝国軍の包囲に抵抗し、デンマークとスウェーデンの支援を受けました。スウェーデンはシュトラールズントと20年間の同盟を締結し、北ドイツにおける皇帝軍の勢力拡大に抵抗しました。

1629年、アルトマルク休戦協定によりポーランド・スウェーデン戦争が終結すると、スウェーデンは神聖ローマ帝国への侵攻に必要な軍事力を取り戻しました。スウェーデン王グスタフ2世アドルフは、1630年6月26日（ユリウス暦）/7月6日（グレゴリオ暦）に艦隊を率いてウーゼドム島に上陸し、1万3千人の軍勢でポメラニアに侵攻しました。

スウェーデンが侵攻を正当化した理由は以下の通りです。

リューベック条約の適用外とするため
神聖ローマ帝国がポーランド・スウェーデン戦争でポーランドを支持したため
ドイツのプロテスタントを解放するため
ドイツの自由を取り戻すため

条約の締結と改正

スウェーデン・ポメラニア同盟の交渉は難航しましたが、最終的に1630年8月25日（ユリウス暦）/9月4日（グレゴリオ暦）に合意に至りました。この条約は、同年7月20日に遡って適用され、両国間の「永久」同盟が確立されました。その後、「ポメラニア防衛基本法」や「宿営令」などの改正が行われ、スウェーデン王がポメラニア公国の軍事に関する全権を掌握する一方、政治と宗教の権力はポメラニア公、貴族、各地の町に残されることになりました。また、公国の外交はスウェーデン王が行うと定められました。

条約の履行とポメラニア

ポメラニア公ボギスラフ14世は、条約締結後も神聖ローマ皇帝フェルディナント2世との関係維持に努めましたが、帝国軍によるポメラニア占領は苛酷さを増し、住民は苦しめられました。帝国の悪政は、ポメラニア人がスウェーデンを支持する一因となりました。

スウェーデンは、シュテッティン条約に基づき、ポメラニア公国を徴兵制度に組み込み、ポメラニアにおけるスウェーデン軍の人数を大幅に増加させました。スウェーデン軍はオーデル川の河口から進軍を開始し、1631年には帝国軍をポメラニア公国から完全に駆逐しました。

グスタフ2世の死後とポメラニアの分割

1632年、グスタフ2世アドルフが戦死すると、ブランデンブルク選帝侯ゲオルク・ヴィルヘルムはポメラニアの継承を提案しましたが、スウェーデンは明確な回答を避けました。1637年にボギスラフ14世が後継者のないまま死去すると、ブランデンブルクはポメラニア公国の継承権を主張し、スウェーデンとの対立が深まりました。

三十年戦争終結に向けた交渉が進められる中、ポメラニアの分割が決定され、1648年のヴェストファーレン条約で正式に定められました。これにより、ポメラニアはスウェーデン領となる西ポメラニアと、ブランデンブルク領となる東ポメラニアに分割されることになりました。

シュテッティン条約は、三十年戦争におけるスウェーデンの勢力拡大の礎となり、その後のポメラニアの歴史に大きな影響を与えた重要な条約です。

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