シュテファン3世 (モルドヴァ公)

シュテファン3世について

シュテファン3世（Ştefan al III-lea、またはŞtefan cel Mare）は、1433年頃に生まれ、1504年7月2日に亡くなったモルダヴィア公であり、その在位期間は1457年から1504年にわたりました。彼は15世紀の重要な政治家であり、正教会の聖人としても名を馳せています。また、彼は「偉大なる公」という称号を持ち、モルダヴィアの歴史の中で特別な位置を占めています。

生い立ちと若年期

シュテファン3世はモルダヴィアの公ボグダン2世を父に持ち、1433年頃に生まれました。彼の父は1449年にモルダヴィア公に即位しましたが、公権力の強化を進めたため、地主貴族からの反発を招き、1451年には暗殺されます。その後、公位は彼の叔父、ペトル・アロンへと継承されました。この混乱の中、シュテファンは隣国ワラキアの元公であり従兄のヴラド・ツェペシュと共に逃亡し、トランシルヴァニアの侯爵フニャディ・ヤーノシュのもとに身を寄せました。

政権奪取

1456年、シュテファンはヴラドの支援を受けてモルダヴィアの公位を奪還し、翌1457年に公に即位しました。彼の即位後、中央集権的な政策を推進する一方で、かつての敵であるヴラドとの関係は緊張を孕んでいました。

1462年、シュテファンはワラキアとオスマン帝国との戦争の最中にキリアを攻撃しましたが、戦闘で負傷し、退却を余儀なくされました。この戦闘はワラキアの軍事力に影響を及ぼす結果となりました。オスマン帝国との戦争が続く中で、シュテファンとヴラドは再び和解し、後の対立へとつながる事件が起こりました。ヴラドの実弟であるラドゥ3世との争いにおいて、シュテファンは他の侯族を支持し、1473年にはバサラブ3世ライオタをワラキア公としましたが、その政権は不安定なものでした。

勝利と信仰の戦士としての名声

1475年には、シュテファンはオスマン帝国に対してヴァスルイの戦いで勝利を収め、美しい勝利を果たしました。この戦いによって、彼はローマ教皇から「キリストの戦士」と称賛されるまでになりました。この戦闘はモルダヴィアとしての誇りを高め、彼の名声を深める要因となりました。

その後、シュテファンは盟友ヴラドの復帰を支持し、1476年には彼がワラキア公に再登板する支援を行いました。しかし、両者の軍はそれぞれの国内事情から撤退することになり、結果的にヴラドは同年の暮れに戦死しました。シュテファンはその後もオスマン帝国に対抗し、モルダヴィアの公位を力強く維持したまま、1504年7月2日に死去します。

文化的遺産

シュテファン3世は、信仰の厚いリーダーでもありました。彼は多くの教会や修道院をルーマニア正教会に寄付し、その中でも特にプトナ修道院は彼の功績の象徴として重要です。この修道院はモルダヴィアにおいて文化、芸術、宗教の中心地となり、その成果は今日でも評価されています。シュテファンの墓はこの修道院内に安置されており、彼の偉大な足跡を示すものとなっています。

もう一度検索