モルダヴィア

モルダヴィアの概要

モルダヴィアは、東ヨーロッパに位置し、ルーマニアの東北部やモルドバ共和国、ウクライナにまたがる地域です。この地域は、一般にカルパティア山脈の東側、プルート川の西側に所在し、場合によってはドニエストル川まで含む広範囲にわたります。モルダヴィアの名称は、元々中世におけるモルダヴィア公国の支配地域を指し、現在はモルドバ共和国及び周辺国であるルーマニア、ウクライナに分割されています。

歴史的背景

モルダヴィアの起源は、14世紀中頃に成立したルーマニア人の公国、モルダヴィア公国に由来しています。この公国は、歴代の公（ヴォエヴォド）の支配の下、さまざまな強国との抗争を続けました。1359年、ルーマニア人の英雄であるボグダン1世がハンガリー軍を撃退したことにより、モルダヴィア公国が成立したと広く認識されています。その後、モルダヴィアはオスマン帝国の支配を受けることになり、自治が許可される一方で、発展の過程で困難な時期も迎えました。

オスマン帝国に従属していた時代、モルダヴィアの公はギリシャ人官僚によって選ばれるようになり、その統治は1822年まで続きました。18世紀半ばから、ロシア帝国がモルダヴィアに対して正教徒の保護を名目に領有権を主張し始めました。1711年にはロシア軍が一時占領する事態となりましたが、オスマン帝国によって取り戻され、その後も複雑な歴史をたどることになります。

ベッサラビア地方の変遷

1918年、ベッサラビアはモルダヴィア民主共和国として一時的に独立し、ルーマニア王国と統合されることとなりますが、1940年には再びソ連に占領され、モルダビア・ソビエト社会主義共和国となりました。この地域の帰属は、第二次世界大戦を経て更に複雑化しました。モルドバが1991年に独立を宣言することで、モルダビアとしての歴史に新たな章が加わりました。

文化と住民

モルダヴィアは、トランシルヴァニアに由来する影響を色濃く持ち、特に木造教会建築が有名です。また、この地域には多様な民族が住んでおり、ルーマニア人やハンガリー系住民、ジプシー、ユダヤ人などが共存しています。統計によると、ルーマニア側においては468万人、モルドバ側には約339万人、ウクライナ側には約154万人が居住しているとされています。

現代のモルダヴィア

今日のモルダヴィアは、地域の多様な文化遺産や歴史的建造物が訪れる人々を魅了し続けています。名産品としては、ドイツ植民者によって作られたワインが知られ、さらにユネスコの世界遺産にも登録された壁画教会群が存在します。モルダヴィアは、歴史の影響を受けながらも独自のアイデンティティを形成し、地域の人々や文化を育んでいます。

もう一度検索