シュペル530 (ミサイル)

シュペル530：フランス製中距離空対空ミサイルの詳細

シュペル530は、フランスのマトラ社によって開発された中距離空対空ミサイルであり、R.530空対空ミサイルの発展型として位置づけられます。このミサイルは、主にミラージュF1戦闘機で使用されるシュペル530Fと、ミラージュ2000戦闘機で使用されるシュペル530Dの2つの主要なバリエーションに分けられます。

シュペル530F

シュペル530Fの開発は多くの困難を伴いましたが、その結果として、原型であるR.530と比較して射程が大幅に延長されました。この改良により、シュペル530Fはイラン・イラク戦争中にイラク空軍の主力兵器として広く使用され、その性能が実証されました。

シュペル530D

シュペル530Dは、シュペル530Fをさらに改良したもので、RDIレーダーに対応するためにドップラー・レーダーを使用しています。このモデルの最大の特徴は、最終段階でアクティブ・レーダー・ホーミング誘導を使用する点と、射程がさらに延伸されている点です。これにより、シュペル530Dは高い命中精度と長距離攻撃能力を持つことが期待されました。

しかし、MICA（ミサイル・ドゥ・コントラット・アンターメディア）の完成と普及に伴い、シュペル530Dは徐々に更新されつつあります。MICAは、より高度な技術と多様な運用能力を備えており、現代の戦闘環境においてより適していると判断されたためです。

性能と特徴

シュペル530シリーズは、当時の最先端技術を駆使して開発され、その射程と誘導方式において優れた性能を発揮しました。特に、シュペル530Dのアクティブ・レーダー・ホーミング誘導は、敵機を捕捉し、追尾する能力を大幅に向上させました。また、射程の延伸により、より遠距離からの攻撃が可能となり、戦闘機の生存率向上にも貢献しました。

実戦での使用

シュペル530Fは、イラン・イラク戦争においてイラク空軍によって広範囲に使用され、実戦での有効性が確認されました。この戦争での経験は、シュペル530シリーズの改良に貢献し、後のシュペル530Dの開発に繋がりました。

後継と現状

MICAの登場により、シュペル530シリーズは徐々に退役が進んでいますが、その技術と設計思想は、後のミサイル開発に大きな影響を与えました。現在では、MICAがフランス空軍をはじめとする多くの国の空軍で主力ミサイルとして採用されており、シュペル530シリーズの役割を引き継いでいます。

まとめ

シュペル530は、フランスの航空戦力において重要な役割を果たした中距離空対空ミサイルです。その開発の歴史、性能、実戦での使用経験は、現代のミサイル技術の発展に大きく貢献しました。MICAへの更新が進む中でも、シュペル530シリーズはその名を歴史に刻んでいます。

関連項目

空対空ミサイル
R.530 (ミサイル)
マトラ

外部リンク

FAS

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